未完成を展示する

作りかけの展示物が想像力を搔き立てる
白いスチレンボードでできた家が、廊下の棚にいくつも並んでいます。よく見ると、屋根がまだ載っていないものや、壁が片側だけ開いたままのものもあります。一瞬「なにこれ?」と思うでしょう。しかし、これらは、これは失敗作でも、収納の忘れでもありません。生徒たちが、まだこの世界のどこにも存在しない家を、頭の中のイメージから立ち上げようとしている過程の中にある未完成の作品なのです。
一般的に展示されるのは「完成したもの」です。仕上がって値打ちの定まったものや、学芸員によって専門的に解説されたものを、私たちは見て感じ知ることで学びます。けれど本校の廊下に並んでいるものは、まだつくりかけのものをも展示しています。この棚が見せているのは、モノそのものではなく、”イメージを形にしよう”と熱心に手を動かし、作りながら考えている生徒達の姿なのです。仕上がった作品よりも、つくっている途中の生徒の姿のほうが、ずっと雄弁なこともあるのです。
また、この未完の「なりつつあるもの」は、一人の生徒の中だけで終わりません。棚に残された作品が、他の生徒のインスピレーションを掻き立ててくれるのです。「あ、なるほどな!私もそうしてみよう」とアレンジを加えようとする生徒もいます。そのように気づいたとき、作りかけの木の棚が並べられたコーナーの意味や価値が見えてくるのではないでしょうか。
本校の廊下は、単なる通り道ではありません。そこには、解説パネルも設置した感性された展示物もありますが、まだ完成していないもの”これから生まれようとしているもの”もも展示されています。生徒が日々その前を通り、他者の挑戦に出会い、「自分もやってみたい」と思う——その気持ちが自然に湧いてくる場所であってほしいと、私たちは考えています。それが、DT教材博物館として考えている大切な柱です。
本校のこうした取り組みの考え方については、今後も書いていくつもりです。ご期待ください。(技術科 沼田 和也)






