少し小さめの棚

学びの足跡としての成功
1年生の木工の紹介です。板材2種類、4ミリのべニア板1枚という、この限られた材料から棚をつくります。
ところで、考えながら作る、作りながら考える。みなさんはどっちが先だと思いますか?
私はどっちもありだと思います。多くの人は次のようにものづくりをかんがえていませんか?
図面を書いて、
図面に従って材料に寸法線をかいて、
材料を切り出して加工してから組み立てる。
これは、まったくその通りなのですが、これができる人はものづくりの「段取り」をすでに獲得している人なのです。その「段取り」技能を身に着けるまえの段階は、「こんな感じ」で材料を切り取って、簡単に組み立てられるとおもっていたところ、
「あれ?材料の厚みを考えてなかったっ (汗)」
となって、材料の厚みを考えて設計図を書く必要があることを学びます。釘のための下穴をあけてしまった後で、「材料の組み合わせを逆に考えていた」なんてことも経験しているはずです。
私が思うことは、こういことがとても大事な経験であり、その生徒の感性がみにつけられる経験だということです。もしもこれを体験しないで、教員の指示にしたがって、教員の口頭説明(教具をつかっての説明も含む)だけで、そつなく全員が組み上げられたとしたら、授業としては成功でその先生は指導力のある教員だとほめられるかもしれません。しかし、生徒にとってみたらどうでしょうか?作品の失敗はないものの、
「よくわからないけど、先生の言われたとおりにやったらできてた」
ということを学んでいるのではないでしょうか。最初の体験として、「とにかくやったらできた、うれしい」という感覚をもつことはもっとも大切です。しかし、その段階から一歩ふみだして価値ある学びを提供しようとするなら、”現物合わせ”と創意工夫による問題解決の体験ではないかと思います。
板の厚みを間違えた生徒の作品は、全体としてうまく組み合わさるように整合性をとっていく結果として、箱がたの棚になることの引き換えに、少し小さめの棚になっていくのです。小さめの棚になったことは、失敗ではありません。生徒が自分の手でものを考え、結果をだすために最善の方法で問題を解決していった成功談のアイコンでもあるのです。教員の指示に忠実に従うことも時として大事ですが、それ以上に自分でやってみて自分の手で考えて、やってみることはそれ以上に大切だと思っています。皆さんの挑戦を楽しみにしています。(技術科 沼田 和也)






