熱の伝わりやすさ

どれが冷たい?
アルミフレーム、コンクリート、木材、れんがの4つの素材があります。同じ部屋に長時間あるわけですから、どれも同じ温度のはずです。では、手のひらでそっと触れてみてください。いちばん冷たいのは、どれでしょうか? 多くの人が、アルミを「冷たい」、木材を「あたたかい」と感じるのではないでしょうか。ところが4つに温度計を当てると、示す値はほとんど同じです。温度は等しいのに、感じ方だけが違う。この不思議の正体が「熱伝導率(熱の伝わりやすさ)」です。
・熱伝導率
感じているのは熱が「奪われる速さ」なのです。手が「冷たい」と感じるのは、皮膚から材料へ熱が逃げるときです。熱が速く奪われるほど、強く冷たく感じます。アルミは手の熱をどんどん吸い取るので冷たく、木材はゆっくりしか奪わないのであたたかく感じます。
この「伝わりやすさ」を表すのが熱伝導率で、単位は W/(m·K) です。アルミニウムは237.3、普通コンクリートは1.637、木材(スギ)は0.097(いずれも『建築設計資料集成』による)。れんがはコンクリートと木材の中間で、約0.6です。アルミは木材の、およそ2,000倍以上も熱を伝えます。冷たさの順に並ぶ理由が、この数字に表れています。
・適材適所
熱の伝わりやすさは、材料を選ぶときの大切な要素です。冬に触れても冷たくない床や手すりに木材が好まれ、熱をためて少しずつ放す壁にれんがが使われるのは、この性質を活かした結果です。木造の家に「あたたかさ」を感じるのは、木が実際に手の熱を奪いにくい材料だからです。先人が経験の中でつかんだ感覚が、数字の裏づけを持っていることがわかります。ものづくりで「適材適所」が語られるのは、こうした違いを見極めてきたからなのです。
本校の教材博物館に来ていただいて、ぜひ体験してみてください。(沼田 和也)






