木の空隙率(くうげきりつ)を体験

わかっていても驚く違い
同じ大きさに切りそろえた、長さ約60cmの三本の角材が展示されていますのでぜひ手に取って、違いを体験してください。一本はずしりと重く、もう一本はスカスカで軽く感じるはずです。見た目はどれも同じ「木」で、大きさも同じなのに、持ち上げた瞬間の重さがまるで違うので驚きます。
この重さの差を生むのが、木の中に占める空気の割合、すなわち「空隙率」です。展示物のなかで、もっとも重いアマゾンジャラは空隙率が約18%、もっとも軽いバルサは約94%です。同じ体積でも、中身がぎっしりした「木の壁」なのか、それとも「空気」なのかで、これほど差がつくのです。この展示では、三本を実際に持ち比べ、さらにバルサに息を吹き込む体験ができます。
重さの正体は「空気」
木材は、細長い細胞が縦にびっしり集まってできています。その細胞の内側は空洞で、その空気の割合が空隙率です。同じ大きさなら、空隙率が高い木ほど中身が空気に置きかわっているため、軽くなります。バルサがおどろくほど軽いのは、体積の9割以上が空気だからです。
木はストローの束
バルサの片方の面に石けん液をつけ、反対側から息を吹き込むと、シャボン玉がふくらみます。これは、木が縦につながった無数の中空の細胞でできている、という何よりの証拠です。とくに、水を通すための太い管である「導管(どうかん)」が、空気の通り道になっています。同じことをアマゾンジャラで試しても、壁が厚く空気がほとんど通らないため、シャボン玉はできません。この対比が、空隙率のちがいをそのまま目に見せてくれます。
ちがいを生むのは細胞の壁
空隙率のちがいは、細胞の壁の厚さで決まります。バルサは壁がうすく空洞の大きい細胞ばかりなので、たくさんの空気を含みます。反対にアマゾンジャラは壁が厚くみっしり詰まっているため、空気が少なく、硬くて重くなります。つまり「導管があるかどうか」よりも、「細胞の壁がうすいか厚いか」が、木の重さと硬さを左右しているのです。
空隙率が決める適材適所
空隙率は、木の使いみちも決めます。空隙率が低く丈夫なアマゾンジャラは、屋外のウッドデッキなど雨風にさらされる場所に。中くらいで加工しやすいSPF材1)は、住宅の骨組みやDIYに。空隙率が高く軽いバルサは、模型や、船や建物の断熱材に使われます。木の重さと硬さを見きわめ、その性質に合った場所で使う。これが古くから言われる「適材適所」です。
手で読み取ってきた「空気の量」
木を、一本ずつ性質の異なる素材として使い分ける考え方は、古くからの木工や建築の知恵に根ざしています。日本の伝統的な木造建築では、硬く水に強い木を土台に、軽くてしなる木を上部にといった具合に、木の重さや硬さを見きわめ、部位ごとに使い分けてきました。DT教材博物館2)には、この三つの角材が並んでいます。まずは手に取って、重さのちがいを確かめてください。(技術科 沼田 和也)
参考
ミクロに見た木材の構造(https://www.shinrin-ringyou.com/mokuzai/kouzou_micro.php)2026.07.20閲覧
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脚注
1) SPF材:カナダなどでとれる針葉樹(スプルース・パイン・ファーの頭文字)を製材した木材の総称。針葉樹は導管ではなく「仮導管(かりどうかん)」という細胞で水を通します。
2) DT教材博物館(Design & Technology Museum):同志社中学校 技術科が、授業と関連する教具・工具・素材サンプルなどを「見せる収納」として展示している空間。






