生徒による生徒たちの本物の学園祭

地域に開かれた生徒会行事
「いらっしゃいませ!」
模擬店のカウンターで、生徒が迎えてくれました。普段の生徒としての表情でなく、本物の接客の表情に見えました。テーブルには、近くのグリル宝さんから届いたアツアツのフライと、同志社大学学生団体Philiaのレモネード。テーブルでお客さんが口に運ぼうとすると、そばの生徒が「おいしくなーれ!」と接客係の生徒がひと言添えます。台本にあったのかどうかは知りません(おそらくなかったと思います)。それぞれの生徒が出番を感じて持ち味を生かして創造てきにやっていました。
学園祭の生徒会行事は、生徒たちがいくつもの企画を立ち上げる半日です。カフェのほかにも、手づくりの射的コーナーやスーパーボールすくいが並びました。店番をする生徒、お客さんを誘導する生徒、備品を管理する生徒がいて、それぞれが自分の持ち場で動いていました。この半日は、生徒たちの時間になっていました。
今年のテーマは地域との共同でした。グリル宝さんのフライと、ベーカリーショップ・ブレーメンさんのオリジナルパンは、お店の方と生徒が並んで販売しました。レモネードは、同志社大学の学生団体Philia(フィリア)のみなさんが一緒です。Philiaは神学部の学生を中心に、小児がん支援に取り組んでいる団体です。カウンターには、売上が小児がん支援に寄付されることが掲示されていました。生徒たちはそれを知ったうえで、一杯ずつ手渡していました。
中学生だけで閉じた行事にしておけば、準備はずっと楽だったはずです。お店の方の段取りに合わせる必要も、大学生が大切にしているものを預かる必要もありません。それでも、外から来た人たちと同じカウンターに立つことを選んだのは、生徒たちでした。
「ここに並んでまっててください」
列が伸びはじめたとき、そう声をかけていたのは誘導の係の生徒ではありませんでした。混んできたことに気づいた生徒が、そのまま声に出していたのです。6月の生徒大会で聞いた「ここに並んだらいいよ」を思い出しました。あのときと同じ、肩書きのない一言です。
終了の合図があると、すぐに片付けが始まりました。始めよう、と号令をかけた人はいません。
「風船おわったら、テープはがすし手伝って!」
こんな声があちこちで聞こえます。自分の持ち場を終えた生徒は、まだ終わっていないところへ移っていきました。机を運ぶ生徒もいれば、掃除にかかる生徒もいます。さっきまでカフェだった場所が、少しずつ元の教室の姿に戻っていきました。生徒による生徒たちの学園祭と思うと同時に、持ち味と出番のある学校空間を想いました。(教頭 沼田 和也)






