本校3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
- 2025年3月15日―2026年3月上旬、全作品が展示
本校3年生の皆さんが、数学の授業で問題・解答を自作した算額絵馬(絵馬の形をした算額です)の全作品が、滋賀県大津市にある三井寺(みいでら)「釈迦堂」(しゃかどう)に今月から翌2026年3月上旬まで展示されます。個人・グループで作成した算額の表に問題、裏に解答が記してあります。上の写真は、3月9日に三井寺で開催された表彰式・展示セレモニーです。右端におられるのが三井寺長吏の福家俊彦さんです。いつも受賞者へのごあいさつをいただいています。
優秀作品に選ばれた8枚の絵馬は、「観音堂」にある江戸時代の算額に並んで永久展示されます。
(下 写真)
今年度の優秀作品受賞者は以下の皆さんです。(クラス順、アルファベット順)
3A里和磨さん、山口隼さん、吉田健伸さん、3B羽室信太さん、大野大智さん、3C朝山心結さん、長田葵さん、3D藤井美緒さん、伊山葵さん、3E合田柊さん、三嶌倫さん、3F山田恭加さん、都倉愛子さん、3G松本大己さん、中村太俊さん、3H八田愛さん、町田沙恵さん三井寺は桜の名所でもあります。今年は3月末から4月初旬が見ごろと予想されています。ぜひ一度、三井寺におこしになって作品をご覧ください。
- 観音堂に展示されている優秀作品
毎年、本校中学3年生の皆さんの算額絵馬を三井寺のご厚意で飾っていただいております。
- 歴代の本校生の作品
- 観音堂に展示されている優秀作品
和算は、とくに日本の江戸時代に発展した学問です。この時代、数学が最も発展していたのはヨーロッパですが、日本はオランダと清朝以外交流していなかったので、数字も漢字で書かれることに象徴されるような独特な発展をしました。特徴を2つご紹介します。
1つは、ヨーロッパでは数学は限られた人たちの学問でした。ガリレオやニュートン、フェルマー、歴史上有名な数学者、科学者もヨーロッパで出ていますが、どちらかというと身分の高い人の学問で、王や貴族に数学を教える人の家系、あるいは一般市民の家に生まれたけれど身分の高い人に見つけられた人が研究者になっていきました。
日本の江戸時代の数学は庶民の学問でした。算額はその象徴と言えます。寺子屋という今の学習塾のような場所があって、そこで数学を学んだ人たちが自分で作った難しい問題を算額にして寺社に奉納したり、また他の人が奉納した問題を解いた人が解答を奉納したりして、お寺や寺社が今の研究発表の場所、博物館のようになっていました。三井寺にも1828年に奉納された算額があります。もう1つの特徴は、数学が文化として普及しただけではなく、生きるために学ばれたことです。武士と農民の交渉や百姓一揆では、農民たちが年貢を計算して、自分たちの生活と未来を勝ち取るために数学を使いました。皆さんにはこういった歴史的事実を知っておいてくださったらうれしいです。
- 国宝勧学院客殿を見学
今回は、セレモニーの後、国宝勧学院客殿を見学しました。普段は非公開の貴重な場所を見ることができました。書院造りの建物で、部屋には狩野光信の障壁画が描かれています。庭も素敵でした。
(数学科 園田毅)