オリジナル大河ドラマAWARD
おもしろいからとことん取り組める歴史の学び
もしも、スコアのための勉強から、面白くて楽しい学びへ転換できたらどれだけ素晴らしい学校生活になるでしょうか?
篠原先生はその究極的な問いに果敢にチャレンジされ、一石を私たちに投げてくださいました。私たち大人は次世代で活躍される生徒のみなさんに対して、学びは人生を豊かにするものでありまたその「喜び」を実感してほしいという願いと、「仮に今は実感できないかもしれないけどきっと役に立つ事柄(知識やスキル)を身につけてほしい」という願いの両方をいつも考えています。もしそれが「辛抱して獲得」ではなく、「楽しくてやってしまう」または「やってみたい」課題やチャレンジがあったらどうでしょうか? 篠原先生の課題は、野性的な学びへのリクエストに応え、学びへのモチベーションに火をつけるような授業が展開されました。
それは大河ドラマの予告編をつくるというプロジェクトでした。もしもあなたが歴史のある番組”大河ドラマ”の新作を作れるとしたら誰を主人公にして何をテーマにどんなストーリーを描きますか?そして見どころの予告をするために、どんなBGMでどんな映像を作りますか?それをグループワークを通して内容を吟味し、豊かなクリエティビティを発揮して一本のトレイラーをつくる。一人一台のiPadを使って、映像そのものを創り出すことができます。この課題のあらすじを聞いただけでもワクワクしてきます。そして、プロのプロデューサーにコメントをもらえるとしたらどうでしょうか?
授業の最後に企画した学びプロジェクトを篠原先生は次のように呼びかけてくださいました。
「2年生の社会科の授業でオリジナルの大河ドラマ制作に取り組みました。各クラスから選ばれた代表8作品の予告ムービーを特別ゲスト伊江さんと一緒に鑑賞します。伊江さんはNHKの元プロデューサーでホンモノのテレビ番組制作に関わっておられた方です。代表のみなさんの作品はプロの目にはどう映るのか?講評をいただきながら一緒に楽しみましょう。」
学びプロジェクト 「オリジナル大河ドラマAWARD」が盛況であったことは言うまでもありませんが、プロの伊江さんから「これだけ深く調べて、見せ方もとっても工夫して、どうすれば伝わるか、を考え抜いた生徒のみなさんの熱意が伝わりました。こんなステキな学びをした生徒さんがこんなにいるなら日本の未来は明るい、と思えました。」という言葉をいただけたことは、とても嬉しかったし、生徒のみなさんの将来を力強く勇気づけてくださった言葉であると思いました。
他方、PBL(Project-based learning, Problem-based Learning)の話題と関連して、教育者であるロン・バーガーのオーディエンスヒエラルキーがよく紹介されます。篠原先生は、このオーディエンスヒエラルキーへの繫がりを意識されているのか、無意識なのかわかりませんが、私にはロン・バーガーのお話と篠原先生の授業設計がリンクして見えます。(沼田)
参考記事)High Tech High ―最上のアウトプットを求める学校文化の育み方(https://kotaenonai.org/blog/satolog/3336/)