皆さんは「TED」(TED talks)をご存じでしょうか。さまざまな分野の方が行う、英語のプレゼンテーションスピーチを配信する動画配信サービスです。そのサービスの一つに、教育向け動画「TED-Ed」があります。Edは教育(Education)の略です。算数・数学に関しても楽しく学べる動画が数多くあります。今回は、その中の「The Alice in wonderland riddle?」を活用した授業をご紹介します。
図形の傾きがテーマですので、「平面図形」、「比例・1次関数」、「相似な図形」などの単元の教材に適しています。1年生2学期最初の授業、いわゆる「授業開き」で実施した2回分の内容です。
https://www.ted.com/talks/alex_gendler_can_you_solve_the_alice_in_wonderland_riddle?utm_campaign=tedspread&utm_medium=referral&utm_source=tedcomshare
(1)ストーリーを紹介します。
いじわるな女王がAliceに謎(riddle)を出します。「64は65と等しい」と言います。そして、「トランプの兵士」に命じて、「証明」をします。4名の兵士が「64」と「65」のチェス盤上をしきつめている状態(下図)を見せて女王は同じだと言うのです。この「証明」こそが女王のトリックなのですが、解けなければAliceは死刑になってしまいます。皆さんにはぜひいじわる女王のトリックを見破ってAliceを救い出してほしい、という設定です。
(2)この動画の後半には謎解きがあるのですが、前半の問題編で一旦映像をストップして、女王がアリスに提示したことを実際に体験してみます。トランプの兵士たち(青と黄色のピース)を印刷した用紙を配ります。
8×8=面積64の格子(動画は「チェスボード」と説明。こちらは当然きれいにうまりますが)と
5×13=面積65の格子
に貼っていきます。一見すると、確かにどちらもぴったりはまって「64」=「65」になっているように見えますが、これが女王のトリックなので、ウソを見破るよう生徒の皆さんに考えてもらいます。
(3)同じことをロイロノート上でも図形を動かして確認してもらいます。グループに分かれて気がついたことを話しあってもらいます。
話し合っている様子を聞くと、「斜めのところにすき間がある」とか「まっすぐじゃない」などの声も聞こえてきました。
2、3年生でしたら比例関数や1次関数でグラフの「傾き」を学習していたり、「相似な図形」を学んでいますので、その知識を使って数値を使った説明になりますが、1年生はまだ学習していないので、今各自が持っている知識を使って、説明の言葉を作り出すことになります。
わかった人に発言してもらい、まず「65」の長方形の対角線のところに「すき間」があることを見つけました。実際に自身で切り貼りした紙を見て確認してもらいます。
また、ロイロノートで作成した画面で操作したもの(右図)は対角線上の「すき間」がよりわかりやすく判別できます。
(数学科 園田毅)