カミオカラボオンラインツアーを実施しました!
8月2日(月)午前、2019年にオープンした「ひだ宇宙科学館カミオカラボ」(岐阜県飛騨市)の専門家の方から、30名余の同中生に研究内容・施設のご紹介をしていただきました。2020年秋に続いて、60分間のオンラインツアーを楽しみました。スーパーカミオカンデの現地の写真は2019年度に実際に訪問した際のものです。
ひだ宇宙科学館カミオカラボ
https://www.city.hida.gifu.jp/site/kamiokalab/
スーパーカミオカンデは岐阜県飛騨市にあります。神岡鉱山跡を利用した5万トンの水タンクで宇宙から飛んでくる素粒子や重力波を検出し、宇宙の成り立ちを研究しています。ここで「ニュートリノ」という素粒子を発見した小柴昌俊氏、さらに質量があることを実験で確認(「ニュートリノ振動」という現象を調べる)した梶田隆章氏(いずれも当時東京大学教授)は、ノーベル賞を受賞されました。
当日は、カミオカラボの高知尾(たかちお)さん、櫻井さんのお2人のスタッフの方が、科学館の中を映像でご案内され、スーパーカミオカンデの研究内容のご説明をしてくださいました。科学館には原子やニュートリノをわかりやすく理解できる展示や体験ゲームがあり、スタッフの方が実際に体験されているのを見ることができて、楽しそうな雰囲気が伝わってきました。ゲームを通じて、原子がくっついて新しい物質ができること(水素と酸素で水ができるのは皆さんご存じでした)、ニュートリノは大気中や私たちの身体の中にたくさん発生、存在しているけれど見つける(検出する)のはとても難しいことなどがわかりました。
ご紹介50分で、質問は10分間でしたが、参加者の皆さんからの質問が多くて盛り上がりました。コーディネーターの高知尾さんも、同中生の皆さんの積極性を喜んでおられました。
参加された皆さん、カミオカラボの皆さま、本日は素敵な体験の機会をありがとうございました!
●参加者の方お2人が送ってくださった記録メモをご紹介します。(若干の加筆修正、注記をしています)
(1)Aさん
- スーパーカミオカンデを実際にzoom越しで見てみると本当に大きくでびっくりしました。
そして、東京大学の研究のための実験施設であることを知りました。
なぜ東京大学から離れた場所にあるのか?
①硬い岩
②鉱物
③きれいな水が必要なので雪解け水などが豊富な場所の方がいい
ニュートリノは原子より小さいので壁も人間も全てのものを突き抜ける。
- ニュートリノの名前の由来は、イタリア語で、ニュートラル(中性/電気を通さない)+イノ(小さい)
- ニュートリノはぶつかると光る。しかし、とても小さくて弱い光なので人間の目では見ることはできない。だから実験室では1つ50cm程度のセンサーが1万個ぐらいある。
- ニュートリノは動いている途中で色が変わる。(注 ニュートリノ振動)
- ノーベル賞は、小柴先生は宇宙の研究で、宇宙から飛んできたニュートリノ(注 超新星爆発ニュ ートリノ)を世界で初めて発見したから。梶田先生は実際に小さい粒の研究をして、ノーベル賞を受賞した。
- 2027年にハイパーカミオカンデが完成する! 国会議事堂ぐらいの大きさがある。
- ニュートリノは謎が多くてあまりよく分からない。今後、ニュートリノを調べれば宇宙の仕組みがわかるかも知れない?(注 それもまだはっきりしていません)
(2)Bさん
- 光は星の表面から出る。ニュートリノは星の中から出る → ニュートリノを調べることで、星の中の様子がわかる。
- スーパーカミオカンデは、
①元鉱山、水が豊富
②コントロールルーム、エレクトロニクスハット、超純水製造装置、地下1000m
③直径39.3m、円周123m、高さ41.4m、光電子増倍管1万14個、※ハイパーカミオカンデは4万個、超純水5万t
④普段は真っ暗、光電子増倍管の中身は真空、割れると破片が飛び散る→隣のやつに当たる→割れるの繰り返しになるので、展示用のものには窒素を入れている。 - スーパーカミオカンデのスーパー技術
なぜ一緒に作った?
①飛騨閻魔岩という非常に硬い岩石がある。なので、穴を開けても大丈夫
②昔、神岡鉱山で亜鉛などが掘られた。その掘る技術が今も活用されている。
③雪解け水、湧水が豊富 - 光電子増倍管は、職人さんが一つひとつ手作り。光が入ってくると光を電気信号に変える。
- ニュートリノの性質
①軽い 水分子よりもかなり軽い。ニュートリノが5cmだとすると、地球は太陽の1000倍(ベテルギウス位の大きさ)になる。
②なんでも突き抜ける 何でも突き抜けるか、当たる確率はかなり低い。水分子は小さいが周りがスカスカ。そして、くっついたりしない(電気性がない)
③水にぶつかったら光る。しかし、すぐ消えてしまうので素早く光電子増倍管でキャッチする。
④3種類ある 住んでいる間に種類が変わる→ニュートリノ振動と言う。 - 昔のカミオカンデの施設は、東北大学が使って東京大学と違う研究をしている。(注 KamLAND カムランドと名付けられた研究施設になっています)
●参加者の皆さんからの気づきコメントです。
- いつかカミオカラボにいきたいです。ニュートリノがこれから実生活に役立つ日が来るのか楽しみです。
- ニュートリノの研究でノーベル物理学賞をもたらしたスーパーカミオカンデについて話を聞けてよかった。ニュートリノがとても小さい物質で様々な物質を通り抜けられるということがわかった。
- いつもとは違う向きから見ることで新しく見えてくるものもあるんだなと思った。今の技術はすごく小さなものも見つけたり研究できるほど進歩しているんだなとわかった。
●カミオカラボ作成の参考動画やサイトを紹介しておきます。時間があるときに見てみてください。理解をより深めることができます。
・カミオカラボYouTubeチャンネル(チャンネル登録お願いします!)
https://www.youtube.com/c/kamiokalab
・カミオカラボブログ (カミオカラボのスタッフ視点のnote記事です。)
https://kamiokalab.note.jp/
・バーチャルカミオカラボ (遊ぶにはアプリのインストールが必要です。)
https://www.city.hida.gifu.jp/site/kamiokalab/21646.html
・ニュートリノクイズ(東京大学宇宙線研究所作成)
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/neutrino-quiz/index.html
(文責 園田毅)