皆さんは、エラトステネスという科学者を知っていますか。
エラトステネス(ギリシャ 紀元前3世紀ごろ)が太陽の南中高度を元に地球の大きさを計算したのは有名な話です。実は、江戸時代に大日本與地全図を作った伊能忠敬も地球の 大きさ(緯度1度あたりの距離)をほぼ正確に測っています。
エラトステネスと伊能忠敬の方法を学んで、私たちも地球の大きさを計算してみました。
<伊能忠敬と同じように地球を歩いて計測>
エラトステネスと伊能忠敬が地球の大きさ(正確には子午線の長さです)を測った方法はほぼいっしょです。2点間の距離と緯度の差を計測して求めていきます。最初に、教室で計算方法を学んでから、キャンパスを歩いて距離を測りました。
≪地球の測り方を確認≫
まず、エラトステネスと伊能忠敬の地球の測り方を確認します。
2人とも2ヶ所の距離と緯度の差で地球1周の長さを測りました。緯度の比較なので、赤道でなく北極点と南極点を含む1周分(子午線)になります。エラトステネスは2都市の距離をどのように測ったのかはわかっていませんが、伊能忠敬は何度も歩いて自分の歩幅を基準に距離を求めました。私たちもその方法にチャレンジしました。
エラトステネスは夏至の太陽の高度から緯度を求め、伊能忠敬は「象限儀」(しょうげんぎ)という大きな分度器のような道具を使って、北極星の高度を測って求めました。
下の写真(右)は当時の測量に使用された「象限儀(中)」です。(千葉県香取市 伊能忠敬記念館所蔵)
もう1枚の写真(左)は本校3年生田中将悟さんが自作されたものです。
皆さんもよくご存じのように、緯度や経度は60進法で表されます。例えば、京都府庁の緯度は35度1分16秒(35°1′16″)と表されます。ちなみに、緯度1度は約111km、京都市と大津市の緯度の違いは約60分の1度、1800mから1900m程度です。
≪計測≫
中学校の立志館東端から南グラウンドまで、メインストリートはほぼ南北にまっすぐ走っています。1年生と3年生がこの距離を歩測して、緯度の違いから地球の大きさを計算しました。
緯度はiPadアプリで「YAHOO!地図」を見て調べました。緯度の違いはたった7秒!3600分の7度の違いです。
まず、教室で自分の1歩の幅を測りました。3人の歩幅は50-65cmでした。
その後、立志館と南グラウンドを往復、各自が行きと帰りで2回歩数を計測しました。秋の夕方、すでに暗くなり始めていました。教室へ戻り、地球の大きさを計算しました。
正確な値は約40008kmです。求めた結果は、最小値が約32000km、全員が実際の距離よりも短い結果になりました。最大約20%の誤差が出たことになります。
あらためて、昔の人の努力と好奇心に感動した時間になりました。