生徒の学びが教科をリンクさせる
ものづくりSPACEから数学科学びプロジェクトへ
既存の教科のセクト主義のような考えを強く持ちすぎると、その弊害として生徒の学びも分断されたものになってしまいます。理科の授業で知るオームの法則と技術のラジオ製作の場面でのオームの法則は別物であるかのように生徒たちが考えているなどという例は有名な話です。しかし、本物の学びとは、既存の「教科」というテリトリーを超えていくものです。既存の教科のコンテンツよりも先に現実があり、そこで生まれる課題とは本来的に教科の枠なんて超えているものなんです。
放課後、技術のものづくりSPACEで何やら一生懸命ものづくりに集中している生徒がいました。キリを貸してほしい、やすりを貸してほしいと言われるまま貸していると、やがて生徒は一つの作品を作って持ってきてくれました。なんとその生徒は、翌週に参加する数学科の学びプロジェクト「地球を計ろう!」のテーマになる“計測器”を自分なりに試行錯誤して作っていたのです。
「これ、次の数学科の学びプロジェクトで使うんです!」と、本当に嬉しそうに話してくれてこちらも元気をもらった気持ちになりました。
授業の予習ならぬ、‘待ちきれない数学科の学びプロジェクトの予習’だったのです。
3年生の田中将悟さんは次のような気づきを残してくれました。(沼田)
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「二百年前の道具を再現!〜道具が教えてくれる学び〜
田中将悟
四分儀(象限儀)は江戸時代に伊能忠敬が日本地図を作成する時に使った道具です。昔の人が、どんな風に測量したのか、そしてどの様に感じたのかを実感してみたいと思い作成しました。
使い方
(例)山の高さを測る時
・自分が立っている場所から、四分儀を使って目線の高さを地面と平行にして山の頂上の角度を測る。
・山の頂上から自分の立っている位置までの直線距離を出す(地図利用)
・底辺と鋭角が分かり、三角形と考える事が出来るので、比を使って高さを計算する。
この四分儀は、低い所から高い所を計算出来るだけでなく、その逆も出来ます。針が動くのではなく、分度器自体が動くので、目盛が読み取り易いです。
実際に作り、使ってみる事で、四分儀という道具は、技術、数学、社会、理科など、沢山の教科と繋がっているんだと実感しました。沢山の知識があれば、より沢山の使い方ができるのだと思いました。」