昨年度、「地球温暖化について専門家に聞いてみましょう」というテーマで、9月に国立環境研究所江守正多さんから科学的な研究成果・予測をお聞きしました。2/13土、第2弾として東京大学教授で気候変動、エネルギー転換という世界的課題を研究されている高村ゆかりさんから国際的なとりくみ、世界の政治的な動きという切り口からお話を伺いました。
高村さんは、東京大学未来ビジョン研究センター(Institute for Future Initiatives)で研究、発信をされておられます。東京大学未来ビジョン研究センターは、2019年4月、東京大学の持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みを推進する未来社会協創推進本部の中心的な組織として設置されました。未来ビジョン研究センターは、持続可能な未来社会を創造するために、未来社会の諸課題に関する政策・社会提言ならびにそのための社会連携研究を行っています。そして、研究に基づいた未来社会を実現する選択を示すとともに、それを担う人材の育成も行っているところです。
高村さんからは、地球温暖化をめぐる日本と世界の状況をお話していただきました。
昨2020年10月、菅総理大臣が「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と所信表明を行い、あらためて地球温暖化問題の解決が人類的課題であることが大きなニュース、話題となり、人々の意識が深まり、広がってきています。高村さんは、日本だけでなく世界中の温暖化対策や条約など、気候変動、エネルギー転換の問題について、今の状況をわかりやすく、そして詳しく説明してくださいました。
最初に、中学生の皆さんも覚えているだろう2018年の西日本豪雨、2020年の九州豪雨など異常気象が繰り返され、すでに「異常」と言えない頻度で起きていること、そして今世界は2030年までの気温上昇を1.5℃に抑えることが目標になっていますが、1.5℃と2℃では地球に与えてしまう影響が大きく違うことを現象面および経済面(損失額等)からていねいかつ具体的に説明されました。
次に、国、政府、企業がその解決にとりくんでいる多くの事例も紹介されました。国家間のco2排出取引や各企業でのco2排出量削減のとりくみが進められていること、サプライチェーン排出量の仕組みにとりくみ始める企業のが増えてきていることなどを紹介してくださいました。
後半の質疑応答は、中学生から自分の考えや地球温暖化を解決するために自分が今とりくんでいることなど率直な感想、質問が出て、充実した時間になりました。
中学生の感想・気づきコメントをお1人紹介します。
「地球温暖化についての学びプロジェクトで江守さんのお話を聞く会にも参加をしたのですが、同じ温暖化のお話でも、高村さんはまた違う視点からお話をしてくださりとても興味深かったです。江守さんは科学的な視点から、高村さんは法学的な視点から解説してくださいました。
地球温暖化は本当に進んでいて、ここ何年か自然災害が増えていることや、沈んでいく国があること、動物たちにも影響を与えていることが分かりました。中学生の私でもできることを見つけて、私から家族、友達、学校、日本、世界へと広まっていけばいいなと思いました。」
もっと詳しく知りたい方へ、関連サイトをご紹介しておきます。
・東京大学未来ビジョン研究センター https://ifi.u-tokyo.ac.jp/
・朝日新聞デジタル『コロナに気候危機…変わらぬ社会に「未来はなさそうだ」』
2020年10月15日 16時30分 ※有料記事ですが、映像は見られます。(24分ごろ、40分ごろからお話されています)
https://www.asahi.com/articles/ASNBF3J2PNB6PLBJ00K.html
・公開対談「新型コロナウイルス後の世界」高村 ゆかり(東京大学未来ビジョン研究センター教授)パート1
http://wwwc.cao.go.jp/lib_011/mirai/talk/takamura-1/takamura-1.html
この企画が、今と未来を生きる私たち(生徒も教員も)が事実を知り、考え、行動するきっかけになるだろうと思いました。ご参加くださった中学生の皆さん、そして貴重な学びの機会を与えてくださった高村さん、ほんとうにありがとうございました。
2021年度も社会や世界について考える機会を作っていきます。積極的なご参加をお待ちしています。
(数学科 園田毅)