同志社大学の研究者にお話を聞くシリーズ
「生命現象を科学する」(生命医科学部 剣持貴弘さん)
9/10金夕方(18時30分-19時30分)、同志社大学生命医科学部教授剣持貴弘さんのお話を伺いました。剣持さんは、大学では生命現象を物理的な視点から研究にとりくまれ、「光ピンセット」技術を応用して、レーザーを用いて細胞一つ一つを操作して細胞組織体(ミニ臓器)を構築する研究等の成果を発信されておられます。
今回は、約30名の中学生の皆さんへ、「生命現象を科学する」というテーマで研究内容を優しく教えてくださいました。
お話のキーワードは「振動」、「同調(同期)」で、科学はまだまだわからないことだらけだということをいくつかの事例で具体的に話してくださいました。
例えば、ホタルの点滅です。ホタルが集団で光る場面に遭遇したことのある皆さんもいらっしゃると思いますが、彼らは集団で光っているとき、各自のタイミングで自由に光ったり消えたりするのではなく、何百匹、何千匹が一斉に点滅しています。日本で見かけるホタルもぼんやりとですが、見せてくださった海外のホタルの動画はまさに一斉に点滅していました。解明されていない生物の謎の一つということです。
ホタルに限らず、私たち生物の心臓や筋肉は数多くの細胞でできていますが、実はそれらもリズムを合わせることで血液を流したり、いろんな動きを可能にしたりしています。剣持さんは、生物が自律的に作り出しているリズム、「振動」という現象を、映像を交えて生命の不思議に気づかせてくださいました。
ご研究の事例をもう一つ紹介します。大きな球1つに対し、小さな球を混ぜ合わせた平らな容器に振動を与えて観察すると、小さな球が少ないとき大きな球は中央部に寄っていきますが、小さな球がたくさんあるときは、大きな玉は容器の周辺部に寄っていきます。これは、細胞の中にある細胞核がなぜ細胞の中心部にあるのかの理由ではないかという研究をされているそうです。
普段、なんとなくそういうものだと考えているできごとを不思議に思うこと、科学の目で見てみることの大切さを伝えてくださいました。今回の参加者の皆さんの中から、同志社大学で科学を学ぶ方が出ることを期待しています。
(数学科 園田毅)
<参加者の皆さんの気づき>
「面白かったです。」
「この世界の秘密にときめきを感じました。」
「ホタルの話など、マウスの筋肉細胞の話が実に興味深くておもしろかったです。今までの学びプロジェクトの中で一番感動した。」
「今回の学プロは少ししか参加できませんでした。今回学んだことは大きく2つあります。1つはリズムが揃っていない振り子のようなものをいくつか横縦に並べて放置しておくと勝手に揃う。2つ目は混雑している細胞に1つの大きい細胞を混ぜると大きい細胞は最終的に真ん中に来る、あまり混雑していない細胞に1つ大きい細胞を混ぜると最終的に大きい細胞は外側に来るということ。」
「命の大切さ・尊さを話しておられて、決意や(生物実験で)気をつけていることを聞いた時、私ならこんなことできないだろうなと思いました。」