400を超える学びプロジェクトの企画数
一定の量を超えることで見える世界がある
学びプロジェクト2021は、企画数400を超え418の企画が開催されました。平均すれば1年間365日ありますが、1日1企画以上の学びプロジェクトが開催されたことになります。学びプロジェクトは、2013年当時は25の企画しかありませんでした。年を追うごとに25、60、69、115と右肩上がりにに増え続け、2021年度は400を超える418までに至りました。
教職員の「こんなこと教えたい」から小さく始めた学びプロジェクトは、生徒の「学びたい」を呼び覚まし、生徒の方からコンテンツのリクエスト「中国語をやりましょうよ!」「環境学習のコンテンツが少ないです」などが出されるようになり、やがて生徒が教える企画まで登場しました。それはまさに学校の学びという文化の伝搬と伝承が起こっています。学びプロジェクトで講師をできることを、生徒たちはとても誇らしく感じていてくれています。そういった学びに対する謙虚で真摯な姿勢こそが、本校の宝物であると感じています。学びの蓄積が一定量を超えると、獲得した「知」や「技」が今起こっている課題や問題にアプローチするためのきっかけになるだけでなく、変えることができるパワーがあることを知ることになります。一定量をこえて学びの質が変わりはじめると、それはリアルな地域課題の解決にコミットする活動に代わります。そこでは、正答や正解はありません。教材パッケージのようなロジカルで予定調和的な理論のようなカッコよさはなく、もっと普通でもっと重い問題にじっくり付き合うことでしか、世の中を動かせない現実に直面します。リアルな課題への対峙は、何のために学び何のために活動するのかといったプロジェクトの「ゴール」や「ミッション」の解像度を無限に上げていくことになります。少し進んだと思えば、またもどるの繰り返しです。余談ですが、学生時代、大学の単位とは関係のない文字通りの自主ゼミを作り、場所を選ばす議論していた時期を思い出します。
この学びプロジェクトに成績は全く関係ありません。先生からの評価はありません。ですから、良い成績をもらうために勉強するそれではないのです。また、悪い成績をとると怒られるから勉強するのでもありません。生徒に「なぜ学びプロジェクトに参加するのですか?」と質問すれば、「え、おもしろいから。なんで?。」とその質問の意図がわからないかのようなリアクションが返ってきます。小生の人生を振り返って、シンプルに「学び」と自身の「生きる」のつながりが中学校にある幸せを、本当にうらやましいと思います。
実社会の本物の人々とつながる醍醐味、量から質へ進化する学び、学びのスパイラルの加速器、これらのゴールはどこにあるのか?それは、子どもだったころの”野性的な学びのリクエスト”を取り戻すことに他ならないと思うのです。
【特集】生徒を刺激する教師の手作り「学びプロジェクト」…同志社(読売新聞オンライン)https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/support/information/CO036561/20210527-OYT8T50012/
日本の学校では文武両道というキャッチコピーが有名ですが、文科省も提唱しているようにこれからは、学校が社会とつながり、探究的な学びも展開していく学校として設定されています。滋賀・京都・大阪・神奈川・広島の公立高校や有名私立中高で、新しい放課後の過ごし方の実践、学びプロジェクトの実践が、それぞれのネーミングとなり広がっています。日本の学校の風景も文武両道の白黒テレビから、社会とつながるカラーテレビの時代へと進化しています。
ところで学びプロジェクトは、「気づきnote」という独自のシステムをつかって、生徒のみなさんの学びの足あとを各自で記録し、エッセイ等を書くときのためのエビデンスとして活用してもらい、お互いが気づきを共有することで、「学びの転化」へと誘っています。一つの企画に参加し、その時の気づきをnoteするだけですが、A4レポート2枚にも及ぶ長文を書いてくる生徒もいます。しかし、そんな時間をかけて長文を書こうが成績には関係ありません。気づいたことがあったから気づきを書く。「気づいて感じたことを書くだけ」のシンプルな記録行為のなかに計り知れない学びと成長の可能性があることは言うまでもありません。(沼田)
https://jhs.js.doshisha.ac.jp/learning/manabiproject/