修士論文の研究テーマに学ぶ
3Dプリンターの素材の強度の研究と、CFRPの材料研究
この日は2本の修士論文の研究テーマに関する講義を拝聴することができました。本校では探究活動として自由研究の充実を目指しています。中学での自由研究の活動が、その先には卒業論文や修士論文へとつながっていくことを考えれば、中学生のうちから修士論文の研究テーマについて解説してもらえる機会というのは、とても有意義な学びの多いものとなります。
1 眞田先生は、大学院でも研究を続けておられ、現在3Dプリンターの利点を活かした材料開発を行っておられます。3Dプリンターはここ数年で、素人でも手軽に購入できる価格まで落ち、一家に一台といっては大げさですが、かなり生活の中にはいってきていることを感じます。そのフィラメントとして使用される材料の強度の評価について専門的に取り組んでおられるというお話でした。
2 島野先生の研究テーマはCFRPの材料研究です。
CFRP(炭素繊維プラスチック)って聞いたことありますか?夢の素材と言われている素材、軽くて強い材料です。この研究が成功すれば、すごいラケット、すごい飛行機、すごい自動車、すごいF1を作れるかもしれない。
[生徒の皆さんからの気づきノート]
3Dプリンタの素材研究
・「私は今回の3Dプリンターの学びプロジェクトに参加して3Dプリンターは未来ではもっと必須で欠かせないものに変わっていっているような気がしました。」
・「3Dプリンターは今後たくさん使われそうだと思います」
・「良い学びになりました。」
・「中空の物の用途について色々考えることができて面白かった」
・「「3Dプリンターは強度が必要なところに使えない。」の対処法は、中身を詰めることしか知らなかったけれど、中に細い金属を入れるという発想を知って、画期的だなと思いました。プラスチックの消費量も少なくて済むし、軽量化もできるなと思いました。」
・「3Dプリンターの問題点やその解決をうまく考えられていてすごいと思った。」
・「今後、未来に向けてかつようできたらいいなと思った。」
・「SDプリンターは材料をプラスチックにすることで費用を減らしているのが心に残りました。」
・「3Dプリンターは1Aにもあります。でもどうやって作るのか考えたことがなく、感心しました!」
・「3Dプリンターは、温めて溶かして、また固める作業をしていることが分かった。安く作ることができるのが3Dプリンターの売りなのだと分かった。カーボンと3Dプリンターを一緒に合わせて立体にすることはまだ研究途中なことが知れて良かった。」
・「熱溶解積層方式の3Dプリンター。溶けたプラスチックを重ねていく。
メリット①形を作らずに情景ができる→やすい、早い,②中が空洞、複雑な形状→できる。オーダーメイドしなくても良い。医療分野にも使える。
プラスチックを溶かして別の形にする→強度は△→【テーマ】使用できる分野が限られてくる。→プラスチック+0.2mm程度の極細ワイヤーを入れる。3Dキャドというソフトを使ってデザインする。」”
CFRPの研究
・「カーボンのこと以外に人生のことまで学ばせていただきました
「人生楽しんだもの勝ち」ということもわかりました。」
・「二つのカーボンも熱が発生するものに使う場合は熱で固まる方、熱を出さないものには熱で溶ける方をといった使い方をしていて、電気を通し、強度がえげつないプラスチックがカーボンなんだなと理解しました。
炭素繊維というものも初めてしったし炭素繊維が進化してカーボンがつくれたのも人類の工夫と知恵なんだなと思いました。炭素繊維は強いし壊れないという凄いものでプラスチックだけなら弱いのにそれを宇宙船に使えるような物に変えてしまう超物質と頭の中で理解してましたw
カーボンで模型とか作ってみたいなと興味がそそられました。」
・「カーボンの軽さの凄さについて知りました。高いけどカーボンを使うことで軽いということで例えばテニスラケットが軽くなることで打ちやすくなるというのがすごいなと思いました。自分たちが使ったらコストがかかりあまり使わないかもしれないけど、プロのアスリートなどのために作ったりしたらめっちゃ良さそうと思いました。
未来のために夢を考えるというおまけの話も今将来の夢がはっきりしてない自分にとって刺激的でした。」
・「私は全くカーボンについて走りませんでした。しかし思った以上に身近にカーボンは使われていて驚きました。また島野さんが夢に向かってつき進んでいるのをみて夢を持ってるってすごいことだと感じました」
・「カーボンは鉄の10倍も強いなんて初めて知りました!環境に良いカーボン開発に期待します」
・「CFRP→プラスチックと髪の毛より細いカーボンで強化してる。プラ+カーボンの糸→最強!?軽くて強い、血の10倍=鉄の10分の1の重さで強度を再現できる。しかし、制作費が高い。メッセージ:人生は楽しんだもん勝ち!!!まずは知る! →理解する→楽しむ 知識→知恵に変えよう。夢を見る→夢中になれる!」
・「全く未知の領域だったので、興味深く聞けました。あまり詳しい科学的な話をしておられなかったので、身近に感じられわかりやすかったです。単にカーボンと言っても、繊維の方向など違いがあることがわかりました。質問にも全部丁寧に答えてくださっていたので、そこから知識をさらに深めることができました。ありがとうございました。」
・「「カーボン」という言葉自体は「カーボンニュートラル」「カーボン紙」などでよく聞いていましたが、その実態が炭素の紐だったとは知らなかったので驚いた」
質疑応答では、生徒の皆さんからのものすごい質問の量で、ほんとうにびっくりしました。とても積極的な参加をしておられ、学びプロジェクトでの参加が、ミニ学会の雰囲気になってきています!
おまけコーナーでは、島田先生から研究生活についての質問もありました。「どうやったら勉強が楽しいと思えるようになるんですか?」という質問もありましたが、島野先生は「勉強は耐えて我慢するものって言う人いるけど、それ間違いね。勉強とか研究とか学ぶことって本質的に楽しいものだから。楽しくないのは、まだ気づいてないだけなんだよね。僕の場合は、運良かったかもしれないけど中学時代の先生が学ぶことの楽しさとか教えてくれたということもあるかもしれない。。今、こうやって先生やってるのは、それを伝えるためだとおもってる。教員として中学の授業をさせてもらえてるってことは、貴重なみんなの中学時代に関わらせてもらえてるわけで、教える内容は授業としては大事かもしれないけど、もしかしたら”研究とか学んで何かにチャレンジしていくってむっちゃエネルギーが湧いてくることなんだよ”ってことを伝えることの方が大事かもしれないっとも思っている。そういうお話したいんだったら、昼休みとかいくらでも答えるから、質問に来て!研究や学びの面白さをつたえるのは、僕の時代の先生たちへの恩返しっていう意味もあるし、次の世代へのバトンだって思ってるから!」と、さらっと答えていらっしゃいました。研究内容とは別に、教員キャリアとして一番大切なマインドみたいなものを教えていただきました。すばらしく感動し、自分を反省する機会を与えていただきました。(沼田)