自分で問いを作り、自分で考えて行動する学び
~自分事としてつかみにいく~
1年生は今、探究学習の中間発表会に挑んでいます。生徒たちは自分で問いをつくり、仮説を立てながら自身のゴールに向かって、学びを深めています。今日はその中間報告会というはれの舞台でした。この時間で大切にしてきたことがあります。それは、誰かから知識を受け取るだけの手続き的な活動とは一線を引き、自分で問い、行動し、考えることなのです。
実際に現場に足を運び、触ったり、インタビューしたり、制作体験したり、実験、観察など、自分のからだをくぐらせてきた、実感を土台にした私ならではの知識と肌感覚を獲得してきました。たくさんのメモ、ちょっとした気づきや感想でいっぱいになったノートを前に、段取りをどうつければいいのかが見えなくなる時もあったことは想像に難くありません。その整理のあたりをつけるために、その方面の知識やスキルも身に着けてきました。とりあえずの中間報告にたどり着くことができたのです。こういった七転八倒のようにも見えるプロセスではありますが、実はこれこそが学びに自身のオリジナリティが加えられていくプロセスでもあるのです。
今日の中間報告会では、それぞれの自分の興味・関心から出発したテーマが並び、しかも手書きでカラフルなカードの貼り付けがなされたポスターが用意されていました。どれも教科書には載っていない、独創的な視点が光るテーマでした。
・「カラリズムが起こらないようにするには?」(1B田中さん)
SNSで見た出来事をきっかけに、肌の色にまつわる偏見について考えた生徒は、書物で事例を調査し、偏見の背景を分析しました。そして差別をなくすための方法を探っています。彼女は「もし自分がその場にいたら」といった視点を取り入れ発表されていました。
・「シベリア抑留からみた平和とは~舞鶴引上記念館を訪れて~」(1B牧嶋さん)
舞鶴引揚記念館を訪れた生徒は、戦争が人々に与えた影響を調査しました。資料や語り部の証言をもとに、「平和を守るためには、過去を語り継ぐことが必要だ」という主張を導き、未来へのメッセージとしています。
・「琵琶湖の水はキレイなのか~水をきれいにすることはできるのか~」(1B野原)
地域の自然環境に着目した生徒は、実際に琵琶湖周辺で調査を行い、得られた実験データをもとに、水質保全の方法を提案しています。環境保全を足元から考える姿勢が、よく伝わる発表でした。
本当の事実とは何か、事実の深みを大切にしながら、自分ごととしてとらえながら、オリジナリティを発揮していく生徒たちの姿は、まさに『知の技法』の手ほどきを探究活動を通じて身に着けようとしているのではないかと感じました。
発表を終えた生徒たちは、
・「もっとわかりやすく伝えたい」
・「次はもっと深く調べたい」
・「他の人の発表から新しい視点を得た」など、
次の発表にむけた新たな気づきを残しています。結論を出して終わりではなく、解決にみえたそれは次の問いを生み出し、学びの連鎖を作り出すのが探究、すなわち自由研究なのです。最終の発表が楽しみです。(沼田 和也)