寄木細工にみる本物の色

本物に触れて、本物の色でつくるアート
淡い黄、濃い茶、白っぽい木肌、なんとなく深緑‥。小さな三角や四角が寄り集まって、幾何学の模様になっている寄木細工。この色は、あとから塗ったものではありません。木がもともと持っている地の色です。
展示品は、1年生が初めての技術の授業でつくった寄木細工です。寄木細工は、色の異なる木を組み合わせて模様をつくる木工技術でして、塗料で色をつけるのではなく、木そのものの色を生かします。だからこそ、「どの木が、どんな色をしているか」を実物で知ることが、作品制作の学びになります。
塗らずに、木の色でつくる
寄木細工では、木を染めません。この展示では7種の木を使います。ホワイトアッシュとメープルの白〜クリーム、にがきの澄んだ黄、レッドオークとブラックチェリーの赤みをおびた茶、ホオノキ(朴の木)の緑がかった灰、そしてブラックウォルナットの濃いチョコレート色。同じ「木の色」といっても、これだけの幅があります。しかも色は固定ではなく、たとえばチェリーは光を受けて年月とともに濃くなっていきます。写真で示された色はその撮影した日のものであり、実物は正直に見せてくれます。
落葉高木を手でおぼえる
この作品に使用された木は、どれも落葉高木です。よく教科書には「にがきは落葉高木」と書かれています。けれど、落葉高木という言葉だけでは、その木がどんな色で、どれくらいの重さで、どんな手ざわりかは分かりません。実物にふれると、言葉の知識が「あの黄色い、あの手ざわりの木」という実感に変わります。にがきの黄色は、本物ならではの色で、一口に黄色といっても、実物は様々な黄色具合があり、それもまた本物ならではの楽しみ方となります。
色をならべて、模様にする
どの木を、どう組み合わせるか? 生徒たちは細工用の鋸で木片をきれいな菱形に切り出し、色の違う菱形をならべて模様を組み立てます。並べる順番と向きしだいで、同じ形の部材からいくつもの模様が生まれます。材料の色や手ざわりや色を知ることと、それをどう切り、どう組むかを考えることは、アート的な力をためす経験にもなります。
文化としての寄木細工
色の異なる木を組み合わせ、その地色だけで模様を描くという技法は、日本では箱根の寄木細工として受け継がれてきました。江戸時代末期に箱根・畑宿で始まり、1984年には国の伝統的工芸品に指定されています。染めずに、木そのものの色を集めて模様にする。1年生が最初の授業でこの方法にふれることには、意味があります。技術の学びを、言葉の暗記からではなく、材料の手ざわりと色から始めるという学びが、この寄木細工の製作にはふくまれています。
にがきの黄色は、写真では伝わりません。本校のDT教材博物館にお越しいただき、本物の色と手ざわりを確かめてみてください。みなさんならどんな組合せで寄木細工をつくりたいですか?
参考文献
・箱根寄木細工協同組合「寄木細工とは
」https://www.hakone.or.jp/yosegizaiku/about/(2026/8/11閲覧)
・本間木工所/本間寄木美術館「寄木細工とは?」
https://www.yoseki-museum.com/about/yosegizaiku-qu/
(2026/8/11閲覧)
・American Hardwood Export Council (AHEC)
「Species Guide/Sourcing American hardwood」
https://www.americanhardwood.org/en/american-hardwood/species-guide
(2026/8/11閲覧)
・d.school (Hasso Plattner Institute of Design at Stanford),
An Introduction to Design Thinking PROCESS GUIDE,2010
.https://s3-eu-west-1.amazonaws.com/ih-materials/uploads/Introduction-to-design-thinking.pdf
(2026/8/11閲覧)






