作って食べてアイヌ文化を学ぶ!〜ひろ子さんと一緒に作る!アイヌ伝統料理〜

【食×多様性】五感で味わうアイヌの知恵〜「いももち」から繋がる命の記憶〜
「アイヌ文化」と聞いて、私たちは何を思い浮かべるでしょうか。多くの生徒にとって、それは教科書の中の知識や、遠い北海道の歴史の一部だったかもしれません。今回のプロジェクトでは、アイヌ文化振興財団の協力を得て、北海道から藤戸ひろこさんを講師に迎えました。「身近な『食』を通じて、アイヌの精神文化を自分事として捉え直すことはできるか?」。この問いを出発点に、伝統料理「シト(いももち)」と「シケレベ茶」作りへの挑戦が始まりました。
調理室に広がったのは、現代の私たちが慣れ親しんだ調味料の香りではなく、素材そのものの力強い匂いでした。生徒たちは、普段当たり前のように食べている「いももち」が、実は明治時代の開拓使による栽培奨励から始まった歴史背景を持つことを学びます。
実習では、機械に頼らず手作業で調理を進めました。「火以外はすべて手作業だったアイヌの人々の体力の凄さを実感した」という声が上がるほど、そのプロセスは五感をフルに活用するものでした。特に、お茶の葉ではなく「カバノアナタケ」というキノコから淹れる「シケレベ茶」には、生徒たちから驚きの声が漏れました。便利さに慣れた日常から離れ、自然の恵みを直接加工する「不自由さ」の中に、本物の学びの感触がありました。
藤戸さんとの対話を通じて、アイヌ語の響きやその奥にある精神性にも触れました。「ユメピリカ」という米の名前がアイヌ語に由来することを知り、自分たちの生活との意外な接点に驚く生徒もいました。
班活動では、同じ趣味を持つ仲間と協力し合い、調理を楽しみました。講師のひろこさんから教わったアイヌ語の発音に挑戦する姿も見られ、単なる料理教室を超えた「異文化との対話」が生まれていました。生徒の感想には、**「知らないことが多かったアイヌ文化が、今の生活と繋がっていると知れた」**という言葉が並び、多様な視点が交差する場となりました。
活動を終えた生徒たちの中には、確かな視点の変化(Before/After)が芽生えていました。 「遠い存在だと思っていたアイヌが、身近な食材を通じて近くに感じられた」という発見や、「調味料をほとんど使わないことで、素材そのものの味を知った」という驚き。これらは、教科書を読んでいるだけでは得られない「生きた知識」です。
ある生徒は漢字一文字で**「然」**という言葉を選びました。「自然の命に感謝することが大切だと気づいた」というその言葉は、アイヌの人々が守り続けてきた「命への感謝」という価値観が、生徒自身の内なる価値観と共鳴した瞬間を物語っています。
同志社中学校が目指す「良心手腕に運用する人材」とは、知識を自分のためだけでなく、他者や社会のために運用できる人のことです。 今回の体験は、単に美味しい料理を作る技術を学ぶものではありませんでした。異なる文化を持つ人々が、どのように自然を敬い、命を繋いできたかを知ることは、「多様性を尊重し、共に生きる」という良心の実践の第一歩です。
「自然の命に感謝する姿勢は、日本(の精神)と同じだ」という気づきは、違いを認めつつも共通の普遍的な価値を見出す力へと繋がっています。この学びを胸に、生徒たちは自らの「良心」を羅針盤として、より広い世界へと対話の手を広げていくことでしょう。




