「サイボーグ昆虫」:命を救うための飽くなき挑戦

「5年以内」を1年で実現。国境と常識をこじ開ける佐藤教授の情熱
シンガポールの南洋理工大学の佐藤裕崇教授にお越しいただき、新入生の登校日、学びプロジェクト体験として「昆虫サイボーグ~昆虫を無線でコントロールすることはできるか?~」というタイトルでお話いただきました。
「災害現場の瓦礫の下、人間に見つけられない命をどう救うか?」この切実な問いが、佐藤教授の研究の原点でした。2011年の東日本大震災で既存ロボットの限界を痛感した教授は、生物の驚異的な動力に目をつけて、電子制御を融合させる「サイボーグ昆虫」の開発に挑んでおられます。親指の爪ほどの「電子バックパック」を背負った昆虫が自律的に人間の温度を検知する仕組みが紹介され、私たちははその圧倒的な実行力と情熱に深く感動しました。米国での国家プロジェクトの挫折や、実験用の昆虫調達に奔走するなどの数々の困難を、持ち前の行動力で「こじ開けて」こられました。当初「実用化には5年かかる」とされていた目標を、わずか1年という驚異的なスピードで達成し、実際にミャンマーの災害現場へユニットを投入されたとのことでした。国境を越え信念をもって取り組まれている姿は、まさに同志社の創立者・新島襄がかつて国境を越え、未知の世界に飛び出した志と重なる挑戦だと思いました。
参加された保護者からも「(前略)行動力と胆力、柔軟さ、粘り強さをもってチャレンジする先生のお姿に感銘を受けました。成功率が未知数であっても、果敢なチャレンジを許容するアメリカの懐の深さと、災害現場にイノベーションを積極的に取り入れるシンガポールのオープンマインドも印象に残りました。」という声が届き、研究の内容だけでなく、その背景にある姿勢や環境にも心を動かされておられる方が多かったと思います。そして、研究を進める過程で直面した困難や、国境を越えて協力関係を築いてきた歩み、そして災害現場で実装するまでの道筋が具体的に語られ、生徒たちも最先端の科学を「遠い世界の出来事」としてではなく、社会課題に向き合う営みとして受け止めておられたように思います。
「諦めなければ道は開ける」という佐藤教授の姿に、生徒たちはテキストでは伝わらない研究の忍耐力を感じ取っていたのではないでしょうか。自らの賜物を社会のために用いるという姿勢は、同志社が大切にしてきた「良心」に通じるものを感じました。国境や言葉の壁を越え、災害現場で命を救おうとする歩みは、生徒一人ひとりが将来、社会の中で果たしていく役割を考えるきっかけにもなったように思います。(技術科 沼田 和也)
参加された方の声
・「いろんな国を行ったり来たりしたり、莫大なお金をかけたりと研究員は大変なのだなと思いました。しかし、その分人の役に立つ研究が完成したり新しい発見があると考えると、とてもやりがいのある仕事だなと思いました。」
・「人から見れば害虫になるような虫も機械を使えば、人命救助に役立つことがあると知り、すごく驚きました。そして、私は批判や否定されると自信がなくなりやる気をなくしてしまうことがあるので、批判されることがあっても目標に向かってひたむきに努力できる佐藤先生がすごいなと思いました。同志社中学で沢山学び、佐藤先生のような方になりたいです。」
・「大変興味深く有意義なお話を聞かせていただいてありがとうございました。子どもは「昆虫サイボーグ」のお話を本で読んだことがあるようでして、佐藤先生から直接に深く内容を聞くことができて感動していました。もっと詳しく知りたいようなので、親子でまた本やサイトなど見てみたいと思います。」
・「佐藤先生の話で上手くいかなかった事も諦めずにやったらできるということがわかった。だからこれからも諦めずに沢山挑戦していきたい。」





