表現を楽しむ科目

高校音楽「音楽Ⅱ」の授業より
本日の朝、チャペルから聞こえてきたのは、単なるバンド演奏ではありませんでした。ドラム、ベース、キーボード、ギター、ボーカルという基本編成に、バイオリンやコーラス隊、さらに多様な打楽器が加わり、音が幾重にも重なった力強い演奏でした。どれかの音が際立つというものではなく、それぞれが役割を持ち、全体の響きを支えあっているそんな印象を受けました。
「ここを聴いてほしい」という場面では、まさにその演出があり、周りはその出番を支える。メンバー同士が振りをそろえて強調する。演奏中にさりげなく交わされるアイコンタクト。ドラムのリズムと低音メロディに呼吸を合わせ、上に音を重ねていくその瞬間そのものが、まるでひとつの対話のようでした。表情には、真剣さと同時に楽しさがあって、「今、この気持ちを届けたい」という気持ちが伝わってくるステージで、単に楽譜通りに音を出すだけではない、身体と気持ちを組み合わせた表現だなと思いました。
今回演奏していたのは、高校2年生の自由選択科目「音楽Ⅱ」の生徒のみなさんでした。音楽の佐川先生によれば、「この授業では、あらかじめ決められた楽譜を演奏するのではなく、生徒たちが自分たちで曲を選び、互いの得意分野を生かしながら編成を考え、演奏をつくり上げてい」くのだそうです。さらに、「コードや歌詞、音源を手がかりに、部分的なアレンジを加えながら音楽を組み立てていく過程そのものが、学びの中心にあります。」とおっしゃっていました。また、「練習では、教員も生徒も同じ目線で意見を交わし、『どうすればもっと良くなるか』、『何を変えれば響きが変わるか』を探り続け、何度も部分練習や合わせ練習を重ねていくと、演奏は少しずつ形を変え、深まっていきます」ともおっしゃっていました。生徒も教員も立場をこえて、フラットな関係でいっしょに音作りに集中する時間が容易に想像できます。
高校に進学すれば選択科目として音楽の授業を取ることができます。学んだ音楽理論をベースにして、自分の内側にあるものを外へ出力する時間なのです。音符という言語を借りて、仲間とともに空間を共有し、聴く人の心に自分たちの感情を届ける。そんな学びが高校音楽にはあります。高校への進学時、選択する必要がありますが、音楽という選択肢もまた、かけがえのない高校での学びを豊かにしてくれるものと思っています。(技術科 沼田 和也)



