道具をきちんと使う本物の体験
ただ鉛筆を削るのではない
鉛筆をナイフで削ったことがあるでしょうか?
削ったことがあるという人は少数ではないかと思います。生徒の感想にもたくさん書かれていました。
・「ナイフで削ったのは初めてなので、少し感覚を掴むのが難しかった。けれど、最後の時はうまく削れた。」
・「思ったより難しかったです。自分が思った通りに刃が通らなかったりして思った通りの形にならなくて難しかったです。」
初めてナイフで削るというときは、戸惑いますし思っている以上にうまくいきません。この他「やってみて案外楽しかった」という声や、
「ナイフで削るとすごく時間がかかるのだなと思いました」、「薄く削るのと、深く削るのを使い分けたら、きれいに削れることがわかりました」という気づきを得たり、
「ナイフを使う時にカドのところを落としていきました。そうしたら鉛筆削りで蹴った時のような角ができるんじゃないかなと思いました」というように、他者に広めていけるようなノウハウまで考える生徒もでてきました。頭で考えてやれるって思っていても、ひとつ何かを体験してみると、実に貴重なデータを取得することができます。うまくいかなかったとしても、それは次のステップにすすむための確かな証拠になります。手を動かしながら考える体験がこれから先に本当に意味を持ってくると思います。ものに働きかけて加工するときに必要な道具は、人間の技術の進化の歴史と深く関わっています。鉛筆を削るという簡単な作業でも、その背後にある文化や技術の発展を感じることができます。
大阪の会社OLFAの社史にでてくるエピソードはとても興味深いです。下記のリンクから、ぜひよんでみてください。(沼田)
<大阪のオルファ株式会社>
刃物の概念を変えたオルファ(https://www.olfa.co.jp/birth_of_olfa_cutter.html)
「1956年、日本の一青年、岡田良男が発明した折る刃式カッターナイフは、世界中の人々に愛用される刃物になりました。
良男によって立ち上げられたオルファは、創業以来、半世紀にわたってカッターナイフ作りのパイオニアとして手道具づくりひとすじに歩んでまいりました。」