現中学3年生永田まやさんは、2年生次の自由研究で「「スプラトゥーン3の世界の時給と比べ、スプラトゥーンの世界の金銭価値を考えて、ショップで売られている服の値段を考察しよう」というテーマで研究しました。
永田さんは、人気ゲーム「スプラトゥーン3」を見て「スプラトゥーンで売られているアクセサリーや服、靴の値段はどれくらいで売られているのだろう」というふとした疑問を持ち、その解決をめざして探究の世界に入っていかれました。解明するためには、現実世界のアルバイトにあたる、ゲーム内で行われる協力ゲーム「サーモンラン」を調べることが必要になります。「サーモンラン」に要した時間と報酬を分析することで、ゲーム内の「ゴールド」と現実の「円」の関係「レート」を推定されました。より正確な価値を知るために膨大なデータを集めて一覧表にして分析した点、実際の金額を知ろうと考えたら現実の世界(今回は最低賃金)を調べることに学びを広げていかれた点がすばらしいです。最低賃金という指標を自ら探されたところに永田さんの輝くオリジナリティを感じました。今回の結果では、1時間あたり得られる64609ゴールドと京都府最低賃金968円(2023年)を等価として、さまざまな商品の値段を決定していかれました。
次回に向けてアドバイスするとすれば、永田さん自身の考察でも触れておられましたが、為替レート(例えばアメリカの1ドルは日本の何円)など別の指標を利用することが考えられます。今回と別の指標で考えてみることで、より現実的な価格設定に近づけることができるかもしれないと思いました。また、各国の経済指標を比較する場合、1つの商品(ハンバーガーのビッグマックバーガー)の値段で比較する「ビッグマック指数」というのがあり、これだとより生活実感のある比較ができると思います。簡単に言えば、スプラトゥーンの中で1つ実際に買ったら何円だというのを永田さんご自身で設定して、そこからゴールドと円の「レート」を推定して、他の値段を推定していくというやり方です。
今回の永田さんの研究手法は「仮説」(1つの手法)に基づいてとりくみ、考察を行って、次の「仮説」を作り研究を発展させる(真理に近づいていく)という普遍的なものです。この研究スタンスをすでに実践された永田さんが、3年次で継続研究されることを楽しみにしています。
永田さんの作品を写真のように展示しています。3階「アルキメデス」数学6教室の廊下掲示板です。今回の担当教員が数学科だったので数学の自由研究作品として紹介しましたが、内容は経済的なものでもあり、教科学習を活用、横断した研究となっている点にもうれしさと永田さんの学びの将来性を感じました。
(数学科 園田毅)