ゴミの分別をバージョンアップする

中学生が仕掛ける「肩書のないリーダーシップ」

学校のゴミ箱をじっくり見たことがあるでしょうか。たいていは「もえるゴミ」「プラスチック」と無機質なラベルが貼ってあるだけではないでしょうか。同志社中学校では、ちょっと面白い動きが起きています。諏訪先生と有志の生徒たちが、校内のゴミ箱のサイン(分別ラベル)を自分たちで作ったのです。それがとにかく可愛いです。デザインセンスが抜群で、今ではすべての教室のゴミ箱に導入されています。

「学校から言われたから」ではなく、生徒が自主的に作って、それが学校全体のシステムとして採用されるのです。これだけでも十分すごいことですが、彼らの本番はここからみたいなのです。諏訪先生に聞けば、実際に導入してみた生徒たちから、「もっとこうしたらよかった」という声が自然と上がっているとのことなのです。作って終わりではなく、すでに「改良版プロジェクト」が動きつつあるとのことなのです。デザインの力や心理的な仕掛けを使って、「人が知らず知らずのうちに、正しく分別してしまう」仕組みの様です。中学生が自発的にPDCAサイクルを回し、行動経済学のようなアプローチにまで手を伸ばそうとしているかのように感じます。

この姿を見て、ビジネス書『採用基準』の著者・伊賀泰代氏が提唱する「肩書のないリーダーシップ」を思い出します。

先々週の生徒大会で感じたことですが、リーダーシップとは、生徒会長や委員長といった「肩書」を持つ人だけのものじゃないのです。目の前の課題に気づき、当事者意識を持って周りを巻き込み、実際に現実を動かしていく力のことです。教室のゴミ箱という、身近すぎる環境問題に目をつけ、デザインの力で学校全体を動かしてしまった今回の生徒達こそ、まさにその体現者ではないだろうかと思うのです。帰属意識や義務感、我慢ではなく一役買ってでることができる中学生たちの仕掛けるアップデートが、今から楽しみです。(教頭 沼田 和也)