教材の意味を再発見するとき
より深い設計プロセスの学びへ
テーブルタップ(延長コード)は技術科の題材として定番です。このテーブルタップが世の中でいかにさまざまなアイデアを付加されて作られているかということに驚きました。それらは、「困ったこと」が製品開発の起点になって、いろいろな解決策の提案として作られていました。
◆ 水滴がタップ側に入ってこないよう防水シャッターがついているもの
◆プラグ側に埃が溜まって起きるトラッキング火災を防止する工夫が施されたもの
◆雷ガードが付いたもの
◆ 使用中の消費電力をモニタリングできるもの
◆スマホ充電用のUSBポートが付いたもの
◆ 様々なカラーリング展開されたデザインの優れたもの
「テーブルタップ」は、生徒のみなさんの作品を点検するなかで、数え切れないほどのテーブルタップ(生徒作品)に触れ、 基本的な機能や安全な組立方法、使用法を知っていると思っていた私にとって、ある意味新鮮な驚きでした。
それらをよく見ると「困ったこと」または、「あったらいいな」を実現している商品として売られているのです。
テーブルタップの使用場面において、使い手である私たちが気をつけなければならないことの一つに「たこ足配線」があります。多くの電気機器を繋ぎ、許容電流量を超えて使ってしまうと発熱、時には火事にも繋がりかねません。事故を防ぐためには繋ぎたい電気機器の消費電力をみて、許容量を超えていないかを確認する必要があるのです。
プラグを壁コンセントに長期間さしっぱなしにしておくと埃がたまり、梅雨時など湿度が高い日には埃が吸ってしまった水分でショートし、場合によっては発火する(トラッキング火災)ことがあります。
「困った」を商品開発の起点にして世の中に提案する作り手側のたくましい商品開発の様子が見えて来ました。そして、新しい製品開発に向けたものづくりのデザインプロセスをより深く想像できたとき、私にとっては良く知っているはずの授業教材である「テーブルタップ」が、現実の生き生きとしたものづくりの世界と繋がって見え、わくわくした感覚を覚えました。そしてまた教材として何千個も見てきた「教材用テーブルタップキット」に特許があることにも、驚きにも似た新鮮な感動を覚えました。この驚きや新鮮な感動を生徒たちといっしょに共有したいと思い、テーブルタップ製作の授業をこれまでとは少し変えてやってみました。
授業の改良は、教師が新しい視点を持ちえたときに起こるのだと思っています。こういった新鮮な驚きをいつも持っていたいと思っています。(knumta)