たった二本の棒きれがSDGsを語りだす
丸太から手作りの箸をつくる
2年生では、手工具で丸太を製材し、ナイフで削って自分の箸に仕上げる。普通の学校なら、せいぜい教材屋さんから材料を購入し、少し削って完成という具合だろうが、本来のものづくりの醍醐味は、豊かな自然のままの材料を加工するところから始まるのである。そういった一番大事な部分をすっとばして、ものづくりだのSTEAMだの言ったところでそれは底が知れたものになる。「人間と自然の物質代謝」そのものを、本物の体験の中で体の五感を通してわかること、、これが本物のものづくり教育なのであると外村先生は言います。
削り終えた箸は自分の好きな色で塗り、よりオリジナリティを感じるものに仕上げる。たった二本の棒きれに、ものすごくたくさんの苦労が入っている。その苦労の中には、生乾きの木材の感触、だんだんと乾いてくる木材の肌触り、変化する木のにおい、箸を落としてしまった時の木材ならではのサウンド、手の中にある棒きれを通して森を想像し、林業を想像し、そこでの人々の働く姿を想う、人が自然と共に生きるというSDGsへ接近するためにはなくてはならない知と体験に裏打ちされたマインドの土台が、このものづくり教育の中にある。
たった二本の棒きれは、かけがえのない私だけの箸であり、その箸づくりの中で自分の手が感じたSDGs、それこそが技術の学びなのである。(沼田)
参考)
1) 同志社のものづくりは丸太から(https://jhs.js.doshisha.ac.jp/omosirojyugyou/technology/%e4%b8%b8%e5%a4%aa%e3%81%8b%e3%82%89%e7%ae%b8%e3%82%92%e4%bd%9c%e3%82%8b%ef%bc%81/)