世の中をちょっと優しくする発明のプロジェクト(3)
プロジェクト化する学び
1学期に、3年生では、社会(経済)、美術、技術のコラボ課題「世の中をちょっとやさしくする発明」に取り組みました。
最終授業にて、アンケートを実施しましたので、その結果を整理したいと思います。
問1)ラーニングパターンから、1学期の取り組みで特に自分が成長したと思うパターンを1つ以上選んでください。
ラーニングパターン(https://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/)は、慶應義塾大学総合政策学部の井庭崇教授が提唱している「学び方」をパターンランゲージです。2009年から慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部にて、活用されています。社会科では、昨年度2年生でこれを活用し、学びの目標を自ら設定することを目指してきました。
今年度は、特にコロナ禍をうけて、オンライン授業への移行があり、ある意味で個別に学習する機会に恵まれました。そのため、各自、個別に応じた学習目標と評価を行うために、ラーニングパターンを用いた自己評価を活用しています。
以下は、得られた回答のうち、特徴的な(多くの生徒が挙げた)パターンとそれについての記述です。この取り組みで得られた学びが表れていると思います。
No. 1 学びのチャンス
・「学びのチャンス」は、与えられるものでも探すものでもなく、 自らつくりだすものだ。 今回の授業で、身の回りの何か足りない物を探し出し、自ら考える事の大切さを学びました。足りない物に一工夫するとさらにいい商品になり、これから活用するにつれて何か良い影響があるのではないかと思いました。 これからも与えられるばかりでなく、探究心を持って自主的に取り組みたいです。
No. 2 つくることによる学び
・プロトタイプを作った時に、作った事でたくさん気づいたことがあったから。
・最初はアイディアが全然出なかったけどやっていくうちにいっぱい出た。
No. 5 まねぶことから
・アイデア発見シートを描くことでアイデアの発想力が身についたと思う。
No. 7 アウトプットから始まる学び
・アイデアを出す時、これは常識的に考えて無理だとか不可能だと思う前に自分の偏見や知識を取り払うといいアイデアが出るような気がしました。
No.9学びの中の遊び
・先生から課題として渡されたものを自分で沢山調べる事で楽しくなった
・課題をするなかで、「してください」と言われたことだけでなく、「ここはどういう意味なのだろう」と自分なりに自由に考えてみたり、自分の趣味と関連づけて考察したりする機会があった。
No.16 動きのなかで考える
・あんまり細かいところは決めずに作りながら考えて決めて作ると、成功した
・商品を考える時、たくさん行き詰まりました。いい案が出たけどもう作られていたり、あったらいいなと思ってもデメリットが大きくなったり。でも自分の経験や友達の意見を聞いて参考に考えるとスムーズにつくれました。 考える中で人に聞いたり自分に置き換えることでアイデアが増えることを学び成長したところだと思います。
No.21 広げながら掘り下げる
・課題をする上で調べ物をすると、他にもないかなと色々な事に興味を持てるようになった。
No.24 小さく生んで大きく育てる
・日常の些細な困ったなという点などから大きく思考を広げて 商品に変えてしまう
・経済、美術、技術のコラボ課題で当初はぼんやりとしたアイディアだった商品が、徐々に深めていくにつれて立派な商品案になったから。
No.31 はなすことでわかる
・一人で解決案を考えようと頑張っていたが、全くアイデアが思い浮かばず困ったしまった。私が改善したい商品はキッチン用品だったので、家族の中で一番よく使っている母に相談してみた。すると「実験してみて、不便な部分がなぜ不便なのかを考えてみたらどう?」と言われ、最終的には改善案を思いつくことができた。
・一学期は家でアイデアを考えたりすることが多く、家族と話して出てくるアイデアも多かったです。
・アイディア商品を考えて、行き詰まっているときに友達と意見を交換したりして よりアイディアを深めることができたとき。
No.34 自分で考える
・1学期の学習はコロナの影響で個人課題が多かった。いつもは友達と意見を交流しながら結論を出していたたので一人で考える事が難しかった。今回の美術と社会のコラボ課題では、自分で一度考えたことをもう一度自分で客観的に見直すなど工夫して商品をつくることができた。以前の自分より成長できたと思う。
・日常生活を送る中でふと不思議に感じたことから想像を膨らませていくことの大切さを知りました。私はよく、外出時にスマホにイヤホンを繋いで音楽を聴くのですが、もっと使いたい時にすぐ使えるようになればいいのに、、と感じて今回のコラボ課題でイヤホンホルダーについて考えることができました。
・マスクの代わりになるものを作っていた時に、どうすれば一番良いかと言うことを考えて、試してみて、そこからアイデアを発見する事ができた
・色んな考え方をするのが楽しかった!
・家族と話したり少し外に出てみたりして自分で考える為に色々な工夫をした。
No.36 捨てる勇気
・今回の取り組みで私は色々詰め込みすぎて行き詰まっていたのですが思い切ってそのアイディアを捨てる事で新しい考えが浮かんだり、捨てたアイディアから違うアイディアが生まれたりしました。
・今取り組んでるアイディアに行き詰まってこれ以上思い浮かばなかったときにそれを一度捨ててみて次に進んでみると他のアイディアがパッと思いつくことができた。
登校再開までの数日間、また登校が再開されてからも、家にいる時間が長くなったのが、この数か月間だったと思います。その期間に、時間をかけて自分と向き合ったり、家族と話したりしながら、学習に取り組むことができたようです。
自分なりの意味づけ。答えのない課題に向き合う。そんな時間に、このコラボ課題が位置付けられていたとすれば、教員としてもとても嬉しいです。
(作成:濵野 担当:青木・塩田・沼田・濵野)