限られた条件の中で、解決策を見つけ出す
映画「アポロ13」にみるエンジニアリングマインドセット
「アポロ13」という映画を紹介します。
紹介する理由は、技術の授業で取り扱うテーマ、まさにエンジニアリングマインドセットが重要なシーンで描かれていたからです。限られた条件の中で知恵と工夫を使って困難を乗り切り、最良の解決策を現実的に出すというものです。この映画のクライマックスの場面に描かれている場面(船内にあるものを使って二酸化炭素の処理装置の代用品を作り出し、危機を乗り越える)は、まさに技術教育の中で大切にされている事柄そのものだと感じるからです。すべてのあらすじをお話するわけにはいきませんが、少しだけ紹介させていただきます。
月に向かう途中で、何らかの原因で爆発がおこり船内の酸素が減っていきます。燃料電池の残量を気にしながら地球と通信を取り、地球へ帰還するために様々な困難な課題を克服していく。一つは限られた電力の中で宇宙船をコントロールすること。そして最大の難関は、もともと2人用で設計された着陸船に3人が入ったため、船内の二酸化炭素を処理できなくなってしまったことでした。このままでは二酸化炭素が船内に充満し、二酸化炭素中毒で3人とも命が危ないというピンチの場面です。地球上では、エンジニアたちが船内にあるものをつかって代用品のフィルター装置をつくり、その作り方を船員に電波で伝えてそのピンチを乗り切ります。宇宙ロケットという完璧に無駄を省かれ設計されたその船内にあるものを使って、フィルタリング装置の代用品を作るなんてすごいと思いませんか?限られた条件や時限の中で解決策を出さなくてはならない。そしてその課題を満たすものをどうにか作り上げてしまう様子は、技術の授業でのブリッジコンテストやロボットコンテストにみるエンジニアリングマインドセットそのものだと感じたのでした。
その後もアポロ13号は、軌道修正の問題、大気圏突入角度の問題、乗組員の体調の問題など、最後までハラハラドキドキは続きます。このラストのシーンは見逃せません。ぜひご覧ください。
技術の授業では、限られた条件の中で、最大の力を発揮する構造物(橋の模型)を作るブリッジコンテスト、これからはじまるマスクプロジェクト(身の回りにある材料からプロダクトを試作する)、コンピュータプログラミング(言語コードそのものに制約がありそれらをツールとして仕様を満たす作品をつくる)など、たくさんのプロジェクトがあります。アイデアを生み出すスピリット、人と協力する気持ち、試作が失敗したとしてもへこたれない忍耐心などさまざまな力を身に着けてくださればと思っています。(沼田)
以下、参考資料として
洋書1 APOLLO 13: Houston We Have A Problem: The True Story of the Apollo 13 Disaster (English Edition)
洋書2 pollo 13 (English Edition) Kindle版
ビジネス書籍にも取り上げられる話題の映画です。↓
『アポロ13』に学ぶITサービスマネジメント ~映画を観るだけでITILの実践方法がわかる!~ Kindle版