人類の文化遺産をうまく伝え豊かに学ぶための教科センター方式という環境の中で、教科の内容を一方的に受け取るだけの時代は終わっています。教科の学びを大切にしながらも、学びの向こう側に何をみるのかといった「Why?」という問いにどれだけこだわれるかによって、中学での学びがまったく違ったものになると考えます。興味深いニュースにフィンランドが教科を廃止するというニュースが話題になりました。
⇒Finland To Become The First Country In The World To Get Rid Of All School Subjects
これまでの教科の内容それ自体を否定するものでないことは明らかですが、現象やトピックを中心しながら学びを広げていくことが描かれています。そしてそういった学びが生徒と教師を結びつける、すなわち教師も生徒といっしょに学び、ともに類的な課題にアプローチしていく学びのコミュニティが描かれているのだと解釈しました。
今教育界のキーワードはPBLと探求かもしれません。2019年1月San DiegoのHigh Tech High Schoolの先生が来日し、応募した日本の教師たちにPBLとは何かというワークショップを3日間行ってくださいました。本校からも2名の教員が参加することができました。High Tech High Schoolとは 映画Most Likely to Succeed にて中心的に取材された学校です。そこでは生徒達の生き生きとした姿が描かれていました。そして学校とは何か、教育とは何かを私たち一人一人に問いかけるものでした。日本でも竹村さんや藤原さんがSTEAM/PBLについて優しく解説してくれています。
⇒朝日オンライン 課題解決学習、世界はこの学校に注目する「ハイテク・ハイ」が日本にやってきた
ふと思うことがあります。私自身の反省といいますか、科学技術の教育が大切であるという主張、理科嫌いという現象に過度にこだわりすぎてきたのではないだろうかと反省します。技術や理科の教育制度固有の問題に注視するのではなく、もっとその先を見るべきであったと気づかされます。私たちの人類的課題は、教科にあるのではなく、それらを越えたところにあるのだということを。
先日の技術科の学びプロジェクトで行われた水素エネルギーを利用した燃料電池のワークショップでは、人類的な課題、持続可能な地球を目指すHONDAの取組に学びながら、私たちの未来を考える取り組みでした。教科の枠組みをこえたところに、学ぶ意味のヒントがあるかもしれないことを教えてくれる優れたワークショップでした。
フィリピンでの生徒達との出会いの中にもその気づきはありました。(knumata)