本物の真鍮を機械加工する醍醐味
同志社中学の名物授業
三浦先生の授業で、作品が完成しつつある。真鍮の角棒を旋盤という機械で削り、ドライバーの持ち手にして行くのだ。旋盤とは回転している材料にバイトという刃物を当てて削っていく機械だ。それを使いこなすにはコツがある。作品の断面は、回転しているがために刃物で削った形が線対象の形になるのだ。限られたバイト(片刃、剣先丸、剣先、突っ切り)を組み合わせて、独創的な持ち手を削り上げる。
スイッチを入れると、静かな音を立ててモーターが回り出す。かなりの精度で調整された旋盤であるので、芯がぶれていない。そこそこのスピードで回転しているにも関わらず、非常に安定している。
スムーズなハンドルさばきで刃物を材料に当てていく。真鍮が削れる音は、サーっという心地よい切削サウンドなのだ。ハンドルを回せばあの硬い真鍮が面白いように削れる。削ることそのものが心地よくて、ついつい削りすぎてしまう生徒は多い。それくらい旋盤作業は楽しいのだ。
皆さんは、どのようなドライバーの持ち手を作りたいだろうか? 形にはかっこよさや可愛さだけではない、論理的な理由があるのだ。市販のドライバーも「美」と「機能」をうまく掛け合わせ設計されている極めて論理的なものなのだ。こういったデザインの学びも技術の本物の実習体験を通してしか実感することはできない。
今、三浦先生の授業は、真鍮の加工と鋼のドライバーの先端部分の加工の大詰めを迎えている。今後の授業展開に目を離せない。(沼田)