教科横断のカリキュラムのヒント
カリキュラムよりも先に現実課題がある
「教科横断」「カリキュラムマネジメント」などをキーワードにした新しい授業実践が、内外から学校に求められています。そのヒントは何でしょうか?プロジェクトや課題を出発点にして自立的に学びを作っていく学習活動においては、まさにその教材やプロジェクトそのものを通して、教師や生徒が何を見ているかということが重要になってくると思います。
教職員は毎週研修会を学内で行っていますが、理科の先生が教材を紹介しながら授業をどのように展開していたのかといった実践報告をされました。その時紹介された教材が、光の三原色のライトを用いてボールペンの影を映しつつ、三つの光の組み合わせによってできる色を探すという活動でした。教員集団の中でもこの活動の導入は大変盛り上がりました。
赤、青、緑の光の組み合わせからマゼンダ、シアン、イエロー、そして白がうまれていました。理科の授業ではこの導入をきっかけに物理の授業に本格的に入っていくのだと思いますが、技術科の教員である私は別のことを考えていました。光のデバイスを制御基板につないでプログラミングすれば、時間とそれぞれの色の強さや長さを変えていく“癒しのあんどんプログラム”をできるではないかと思いました。理科で使う教材を使って、プログラミングの授業も関連づけられます。また、それに音楽や演劇という要素を組み合わせれば、それはアイドルのステージづくりにもつながります。サイエンスとエンジニアリングとアートが重なった小さなアクティビティが作れます。
この光に関連する内容を技術科だけで行っていれば、その赤緑青の光は、あるプログラミング言語のなかで使う「RGB」というアルファベと三文字のことであり、実際にはその引数の設定を変えてみるくらいのことに過ぎません。物理的な理解とともにアーティストの演出を考えるというプログラミングの向こう側にある創造性にアクセスできたとき、私たちはより本気になれるのだと思います。
同僚の授業の実践報告を聞きながら、次の授業実践のアイデアへとつなげていける。教科横断のひんとはそんなところにあるのかもしれないと考えています。(沼田)