技術史を体験する~道具から機械への転換~
旋盤実習で体験できる歴史の学び
技術科の授業では旋盤を使ってねじ回し(ドライバー)という作品を作っています。その作品作りの工程において実に様々な体験ができるので、それだけでも価値があるものだが、私は旋盤実習にもっとも注目しています。
それは技術史という歴史を直に体験できる機会となっているからでです。ものづくりにかかわる大きな要素は、作り手、道具、材料ですが、手工業から大工業へ転換していく歴史をひも解くときは、「道具」を出発点にして考える方がよいとされています。道具が作り手の手の中から機構の一部に埋め込まれたものが機械であると考えることで、様々なものづくりの歴史を理解しやすくなります。
授業の場面では、真鍮という材料にバイト(金属を切る刃物)をあてて削りますが、そのバイトは作り手の手の中にあるのではなくて、旋盤という機構の中に埋め込まれています。そのバイトをハンドルを操りながらほしい形状に切削していくのです。
技術史や経済の話にも関係してくるこの旋盤という機械を実際に使うことができる体験は、とても価値があることだと思います。教科横断という言葉が最近流行っていますが、教科横断をも超えた学びが中学校にはあります。ぜひ楽しみにしていてください。(沼田)
参考文献)
,『技術科のとびら』,日本書籍
http://u0u1.net/000n