学びに向かう学校へ
試験や受験の先を見ている台湾の生徒たち
先日、台湾にある淡江高級中学との国際交流から多くの刺激と学びをいただきながら日本に帰ってきました。10名の生徒が参加しとてもすばらしい台湾の生徒のみなさんとの体験を得ることができました。この報告については後ほどさせていただきます。今回は、台北市立第一女子高級中学に関する事柄について、紹介させていただきます。それは筆者が、アジアものづくり授業を中心とした国際交流事業をいっしょに進めていける学校を探している途中に出会った学校でした。生徒のみなさんの志の高さに強い刺激をいただいた学校でした。
本校では、学びプロジェクトや自由研究に力点をおきながら新しい放課後の過ごし方、学びに向かう学校を模索していますが、特に探究の方面で先を行く堀川高校が、台北市立第一女子高級中学と姉妹校提携を結ばれていることを知り、さすがだなあと思った次第です。堀川高校の生徒たちも大きな刺激をもらっていることは想像に難くありません。お互いに非常に良い交流をしておられると思います。
6年前、私は台北市立第一女子高級中学の門衛所の方に信頼をいただき、特別に日曜の校舎見学をさせていただいたことがありました。門衛所の方は、「日曜なんで授業はないんですよ。静かなものですよ」といいながら構内を案内していただきました。確かに静かな日曜の静かな校舎でした。何とはなしに私が教室のドアをあけましたら、驚くことに教室には生徒たちがたくさんいらっしゃって、机に向かって勉強しておられたのです。門衛所の方に「なんで生徒がいるのですか?!」尋ねますと、「自習をしたいという生徒のために学校をあけている」とのことでした。私が驚いたのは、狭い教室にあれだけ生徒が集まっていて、なおかつ私が「静かな休日の校舎」と感じるくらい静かに勉強されていたことでした。木陰で本を読んでいる生徒(高校生)を発見したので、インタビューしましたら、「日曜日はよく学校で勉強にくる」らしく、しかも試験が近いからみんなが自習に来ているわけではないとのことだったのです。インタビューしたのは数名でしたが、試験のためというよりはその先にやりたいことがあるから勉強していると言っていたことや、突然不意に英語で話しかけたにもかかわらず英語で返してくれるその反射の速さにも驚いたことを覚えています。
海外の学校でも学びが学校の中心に位置づいていることは間違いありません。文武両道という言葉が化石になった今、学びや国際感覚を養うような新しい放課後など充実した時間にしていくとともに、休みの日が生徒のみなさんにとってより意味ある時間になりますよう願うところです。高校生になる前にこそ、いろいろな興味関心を持ってもらいたいし、小さくとも確かな経験、本物の経験をたくさん味わって、価値ある人生のチャンネルみたいなものを持ってもらいたいと願っています。一つのことだけをやるのではなく、貴重な中学時代を有意義な時間にしていただきたく思っています。
本校では学びプロジェクトや自由研究のエンカレッジメントについて努力しているものの、学外にはもっと素晴らしい体験を用意してくれている学校のキャンプや、イベントがたくさんあります。各大学のオープンキャンパスやイベントは高校生だけでなく中学生も参加できるようになっていますし、インターナショナルスクールでは海外で活躍している先生をゲストとして呼びながら、いろいろな国の生徒とディスカッションする企画がありますし、また、本校でもAsia STEAM Camp を開催し、アジアを中心とした生徒のみなさんと国際チームをつくりながらロボットプログラミングのコンテストを行うユニークなイベントを展開しています。(knumata)