圧縮空気で回るエンジンの製作

やってみなければわからないことがある
予定調和的で追試するだけの実験、治具でほぼプロセス管理されたものづくり実習では、ほぼ全員が「成功」を体験します。しかしその「成功」と引き換えに失われるものがあるのではないか、そんな問いを与えてくれたのは、3年生の山森さんの研究発表でした。山森さんは、「圧縮空気で回るエンジンの製作」をテーマにして3Dプリンターを使ってピストン式のエアエンジンを作ろうとされました。空気で動くエンジンはインパクトドリルや歯科用ドリル(最近では少なくなっているようですが)などあるようです。技術室にあるエアーコンプレッサーを使って回転するエンジンを3Dプリンターで設計・試作していかれました。山森さん曰く、「失敗の連続」とのことですが、なんといっても山森さんの次から次へと出てくるアイデアと、試作を止めないというそのエネルギーは本当に素晴らしいものはあります。彼にとっては道半ばでの発表会となりましたが、本物の経験をくぐらせた彼の分析・考察も皆を納得させるものでした。「2秒程度回転したが、設計ミスでホースが破裂」、「3Dプリンターの精度」、「設計の問題」、「技量の問題」、「気密性の問題」など、自分の足が地についた考察を行っておられます。「ピストン式エアエンジンは、タービン式に比べて部品数も圧倒的に多く、学校にある3Dプリンターの精度や自分の技量的につくるのが非常に困難」という彼自身の評価ではありますが、山森さんの意欲は今後も留まることをしらないと思います。
山森さん自身が次から次へと新しいアイデアを試していきながら、自分自身が描くゴールにむかって進んでいく足跡を自分の足でつけておられます。山森さんからたくさんのことを学ばせていただきました。(技術科 沼田 和也)



