信じられない完成度のオブジェを作った中学2年生
廃材、要らないものを工夫して本物をつくる
「家にあるいらないもの、紙とか、キャップとかを使って何かできないかなと考えています」
こう話していたのは辻本さんだ。8月、試行錯誤している様子を聞いていたが、提出された作品をみてその完成度の高さに驚いた。全高40センチ程度、幅25センチ、奥行き10センチの「空き箱」が、小さなパン屋さんの模型となっていた。「小さい頃に遊んでいた粘土、絵の具、マーカーなど工夫した」というが、まるで本物の食品サンプルのようで、とても美味しそうなドーナツやあんぱんである。スケールはドーナツの直径が8ミリであることを考えながら、写真をみていただきたい。その緻密さに驚くし、また製作中の辻本さんの集中している姿も目に浮かぶ。限られた材料と表現したいことの間にあるデフォルメという工夫を想像するに、楽しんでアイデアを捻り出していることも伝わってくる。
毎年、生徒たちの自由研究を楽しみにしている。各自の「こんなことやってみたい」から出発したことの成果物には小さな歴史があり、その背景にある生徒の皆さんの試行錯誤のプロセスが透けて見えた時、生徒の皆さんが苦労しながらも楽しんで獲得した何かを、私たちも共有できる。探究活動は、私たちにとっての大切な学校の宝物のようなものだと思っています。(沼田)