アジアの教育熱 淡江高級中学の学びへ向かう熱意
ものづくり授業交流でつながった台北の美しい私立中学
同じアジアに住む私たち教員同士がつながりあうことで、次代の教育や授業のアイデアをシェアするネットワーク構築を目指して、国際ものづくり授業交流の取組は始まりました。2013年には台湾を訪問し、淡江高級中学とであうことができました。幸運なことにその学校は、同志社と深いつながりの歴史を持っていました。その学校のかつての校長は同志社大学に留学され、台湾ではラグビーの父と呼ばれていました。
参考) 戦前の同志社と台湾留学生 / 阪口直樹 (https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/4479/g00063.pdf)
私は何度かの訪問と交渉の末、淡江高級中学で授業をさせていただく機会を得ました。建築技術の授業(折板構造)の教材をスーツケースに詰め込み、台湾に行きました。自分としては反省点の多い授業となりましたが、結果としてとても好意的に受け取ってくださり、この日を機会に同志社中学との交流が始まり、今では姉妹校協定を結ぶまでになっています。
その時に感じたこと。それは「アジアにおける教育熱はものすごいものがある」ということでした。
その出前授業の日、台湾の中1の生徒に対しての授業を行いました。私は学生時代、第三外国語を中国語で単位をとりましたが、今となっては使い物にならず、その学校での出張授業は内容説明も質疑応答などすべて英語で行いました。
授業が終わった後、そのクラスの担任の先生が中国語で生徒達に話し始めました。目の前にいた生徒に英語で、担任の先生は何を言っているのか?と聞きました。「先生へのお礼です」とか「次の授業のアナウンスです」など、単語や短いフレーズで答えてくれるだろうと思っていました。するとその男の子は、同時通訳に切り替えて一生懸命私に伝えようとしてくれました。私が驚いたのは、教師が生徒に話す内容程度のレベルなら、すぐに同時通訳くらいできるという英語力、そして、初めて会う外国人に対して、「一生懸命がんばって同時通訳するのだ」というそのまっすぐな姿勢でした。中国語ができないので通訳の精度がどのくらいあるのかわかりませんでしたが、その一生懸命な姿勢に心を打たれましたし、その英語力もたいしたものだなあと感動しました。
自分が中学時代だったらどうしただろうか、、外国人の教員がやってきて、突然「先生何言っているの?」と質問されて、同時通訳できただろうか、また「この方に対して間違ってもいいから精一杯同時通訳しよう」という態度をとれただろうか。私自身そんな英語力もなかったし、その男の子の足元にも及ばない中学生だったことは間違いありませんでした。台湾の淡江高級中学の中学生おそるべしです。(knumata)