TVドラマで数学しよう!「フェルマーの最終定理」と「フィールズ賞」
古畑任三郎シリーズ「笑うカンガルー」
Season 1 – Episode 13 (1995年4月放映)
中学生の皆さんは、古畑任三郎シリーズを知っていますか?
皆さんが生まれる前にたいへん人気のあった推理ドラマで、田村正和が演じる古畑任三郎警部補が犯人とコミュニケーションを取りながら、論理的に追い詰めていくというストーリーです。また、毎回有名人が犯人で番組前半は犯行が描かれ、視聴者は犯人を知っていてドラマを観ていくことになります。スペシャル編では、SMAPやイチローが犯人役で登場したこともあります。
この回は、数学が至るところに散りばめられているので、3本の記事に分けて紹介します。(同じドラマの紹介になり、すみません) 陣内孝則さん演じる数学者二本松晋が「ファルコンの定理」を解明し、「アーバックル賞」を受賞します。その授賞式の行われるオーストラリアのホテルで事件が起きるという設定です。
「ファルコンの定理」というのは、放映直前(最終的な論文発表は1995年5月で放映直後です)に証明が確認された「フェルマーの最終定理」(Fermat’s Last Theorem)をモデルとしています。17世紀のフランス人数学者ピエール・ド・フェルマーが書き残した定理で、1995年にイギリス人数学者アンドリュー・ワイルズによって完全に証明されました。興味を持った人はぜひ調べてみてください。
また、「アーバックル賞」は「フィールズ賞」(The Fields Medal)をイメージしています。すばらしい業績をあげた40歳以下の数学者に与えられる賞で、ノーベル賞が数学分野を対象としないため、数学界では最高の権威ある賞の一つとされています。日本人では、小平邦彦氏(1954年)、広中平祐氏(1970年)、森重文氏(1990年)の3人が受賞されています。(数学科 園田毅)
<参考文献>
(1)「マスメディアの中の数学」馬場博史著 関西学院大学出版会
(2)「数学ワンダーランド10 シネマで数学・マジック入門ー数の計算」
勝野元薫著、銀林浩編 国土社
(3)「フェルマーの最終定理」サイモン・シン著、青木薫訳 新潮社・新潮文庫