価値ある生徒会行事
だれひとりとりのこさない、みんなが楽しめる空間をつくりだす
学園祭の最終日、朝早くからキャンパスと校舎は活気に満ちていて、生徒たちの笑顔、ワクワクする心の音があちこちで聞こえてきました。この日のために生徒会のメンバーは数か月も前から準備を重ねてきました。彼らの目指すのは、ただの楽しいイベントではなく、一人ひとりが出番を感じ、学校生活の中で自分の存在を確認する大切な機会をつくることでした。”だれひとりのこさず、ここにいるみんなが楽しいと思える空間をつくりだす” です。
「願い事を書いて飾っていくコーナー」は、生徒たちの夢や将来の願いごとがたくさんつまっています。ハートの折り紙には、
「毎日楽しく過ごせますように」
「幸せな社会がずっと続きますように」
このコーナーには、さまざまな夢が並び、それぞれの紙には生徒たちの真剣な想いが詰まっていました。そして、それを見る他の生徒たちが、自分の夢を思い出し、また新しい夢を持つきっかけとなっていました。
「スーパーボールすくい」や「ダーツコーナー」は、生徒たちの笑顔と歓声で賑わっていました。「水中コイン落とし」は生徒達が独自で考えたゲームです。生徒たちは協力し合い、友達と作戦を共有しながら「獲物」を獲得していきました。デジタルなゲームではなく、こういったアナログな”あそび”を創造するちからは、本当にたいしたものです。
そして、学園祭では生徒達が独自の学内ホームページをつくり、イベントのお知らせやアピールなど、最新の情報を共有し、とても活発なデジタル空間になっていました。デジタルの方面に詳しい生徒は本当に詳しく、大人顔負けの管理とガバナンスの効いたサイトを運営されていました。普段の学校生活では見せない一面や、自分たちが創り上げたイベントの成功を共有することで、生徒たちの絆はさらに深まっていったであろうことは想像に難くありません。
学園祭の一日は一見すれば楽しいイベントと見えます。しかし、教育的価値という視座から俯瞰することができるなら、楽しいイベントの向こう側にある、生徒達の思いや「今」をつくりだすちからを見抜くことができます。これからの新しい社会やコミュニティの形成にコミットしていこうとするとき、正答は存在しません。ここに集まった人たちと、交流して話し合ったり、お互いを認め合ったり、共に感じ合ったり、みんなで決断していくことでしかより良いコミュニティは作り出せないのです。生徒会行事にみるコンセプトの向こう側には、「楽しむとは?」、「みんなが楽しめるには?」、「安全に実行するための段取りは?」、「備品はどこから調達する?」、「お互いのミスをどう補い合う?」
など、数えきれないほどの生徒たちの想いが詰まっているのです。だからこそ、お互いが大切な存在であると感じることができる生徒会行事、それぞれの持ち味が発揮され、それぞれに出番が保障されている生徒会行事は、様子をみているだけで人を感動させてくれます。行事の中でも一味も二味も違う生徒会行事に期待してください。(沼田)