ピタゴラス英語絵本の翻訳と読み聴かせ

言語と数学をつなげる学び
複数の教科が、コラボレーションしながらより深く学べるように設計された探究の取り組みが行われました。そして、小学校を訪問し、小学校の皆さんにも協力いただいた企画となりました。
3年生の授業で実施された「研究授業 ピタゴラス」は、英語・数学・理科・国語が連携しました。まず『Pythagoras ~What’s your angle?』という英語の絵本を日本語に翻訳し、さらに動画の読み聞かせまで行いました。翻訳は、今ではAIをつかった翻訳機を使ってすぐにできますが、読み手のことをも考えた翻訳は、より深い「理解」の努力が必要となります。まず英語授業では直訳を行い、国語の授業で自然な日本語に仕上げる作業をしました。ただ言葉を置き換えるだけではなく、数学の概念をどのように伝えるかを考えながら翻訳することで、生徒たちは「三平方の定理」の本質をより深く理解する機会を得ました。理科の授業では「力の作用・反作用」の単元で、数学授業の「三平方の定理」につながる予備知識を身につけ、数学の授業では翻訳された絵本をもとに、定理の活用を考察しました。言葉だけでなく、数学的な思考を交えて翻訳することは、生徒たちにとって新鮮な挑戦となりました。
そして「読む」から「伝える」への最終フェーズでは、生徒たちは完成した日本語絵本をクラスごとに朗読し発表しました。朗読をすることで、言葉の選び方やリズムに意識を向けることができます。そして、同志社小学校を訪問し、小学生たちへの読み聞かせを行いました。言ってみれば、小学校と中学校の共同の学びの機会だったといえます。
学問は既存の教科の中に閉じ込められているものではありません。むしろその逆で、教科の学習に立脚しながら、教科の協同によって横断的な学びを実現し、深い学びへといざなうもの、それが教科学習であり探究学習であると思います。生徒たちが新たな学びの視点を得られたこと、小学校との協同の機会をえたことを幸せに思います。(文:沼田 和也)