<円周率のお話2>
円周率は紀元前の人々もすでに知っていて、その正確な値を調べる人がいました。発掘された粘土板によると、約4000年前の古代バビロニア(楔形文字を使っていた時代です)で円周率が計算されて使われていたそうです。
最初に考えられた円周率の計算方法は、紀元前3世紀に活躍した数学者アルキメデスが使った方法で、円に内接・外接する正多角形の周の長さを計算していきます。アルキメデスは正96角形で計算して、円周率が「3.14」まで正しいことを導いています。
14世紀ごろより、数学者は数式を使って求める方法を発見しました。マーダヴァ-ライプニッツの公式、マチンの公式などが有名です。
さらに、現代(第2次世界大戦以降)はより速く計算できる数式を考えコンピュータで計算して円周率を求めるようになり、その桁数が競われるようになっていきました。その中で、今回は日本の数学者が関係している研究成果をご紹介します。
1980年以降、金田康正さん(1949-2020 東京大学教授)、田村良明さん(国立天文台)、吉野さやかさん(筑波大学)、後保範さん(日立製作所)、若松登志樹さんたちが活躍されています。(所属はいずれも当時のもの)スーパーコンピュータを使って何度も世界一の桁数を更新されていきました。私が調べた範囲では、1兆2411億7730万桁まで計算されています。
現在(2024年3月)の最大計算記録は、2022年6月にコンピュータ科学者の岩尾エマはるかさん(Google)がGoogle Cloudを用いて計算した100兆桁です。最後に、100兆桁を計算したことをご本人が発信したGoogleの記事を紹介します。
「円周率の100兆桁目を求めて」岩尾エマはるか
Google Japan Blog
2022年6月9日
https://japan.googleblog.com/2022/06/new-digit-pi-2022.html
(数学科 園田毅)