“光を見る視点そのもの”を問い直す宮下さんの研究

単なる技法ではなく、世界の見え方そのものを変える学び
「きちっと白黒はっきりさせる」ことに正義が宿ると思っている段階では、見えない現実世界があるのだなと思いました。
宮下さんの研究は、「光と影の捉え方そのもの」を問い直しているのがすごいと思います。私たちは普段、白黒、真偽、正誤といったように、物事を単純化した枠組みでとらえがちです。しかし宮下さんの研究では、「もともとは光が当たっていない状態で、そこに光が差し込むことで明るい部分が生まれる」という気づきが出発点となっています。言われてはじめてわかることでした。
宮下さんが見ている部分は単なる描き方のテクニックではありません。ものを丸ごととらえるための主体のマインドセットであり、見方そのものを反転させるような、新しい視点の獲得を見ていると思いました。白黒をきっちり分けることに正しさが宿ると思っている段階では見えてこない、現実世界の奥行きのようなものが、ここには表れているように感じました。
さらに宮下さんの研究の成果は、クリエイティブな創作活動の質にかかわってきます。感覚的にイラストを描いていた場合、集中できた日は良い作品ができる一方、気分がのっていなかった日は今ひとつになることもあるでしょう。しかし、この研究成果をインプットしておれば、その日の調子に左右されず、一定以上の質を保った表現が可能になります。宮下さん自身もそのように述べており、まさにその通りだと感じました。
「なんとなく描く」段階から一歩踏み出し、現実のありさまを深い次元で受け入れ、表現を自分の手の内に取り込んでいく。これが宮下さんのすばらしい研究ではなかったかと思いました。(技術科 沼田 和也)





