リフレクションが育む問い続ける力

GLIDEとGEARによる振り返りの文化と面談の質的向上
同志社中学校では、毎学期末に「ENAGEED GLIDE」と「ENAGEED GEAR」を用いて学期の振り返りを行っています。短期的な知識の習得を超えて長期的な生徒の人間力・哲学的に問いを続ける力につなげようとしています。この時間は、単なる事務的なテスト返しや反省文ではなく、一人ひとりが自分の成長を自覚し、次の学びへと歩み出すための自信の考えを引きだす貴重な時間として位置づけられています。期末テストの最後の科目に「リフレクションの時間」を設けているのはそういう理由があるからです。
狭い範囲ではありますが、私たちは測れるものを数値化して見える化しています。しかし短期的な成果だけでなく、長期的な成長や思考の深化を対象にした場合、考えることを続ける力、即答ではなく一定の考えを出すまでにいくつかのことがら保持する経験のようなものが必要になるのではないかと考えています。自分の考えを深めて、いわば”哲学”のようなものを形づくっていく力が、実は生涯につながる学びの姿勢、もうひとつの学びの姿勢として重要になってくると考えているからです。「リフレクションはその力を育てる」とは、言うことは簡単ですが、リフレクションを行うにはそれ相応のモチベーションや環境が必要になるのも事実です。「どう考えるか」「なぜそう思うのか」を見つめ直す時間、それがリフレクションの時間でもあります。
ENAGEED GLIDEでは、近年話題になっている非認知能力(意欲、自律性、協調性、粘り強さなど)に焦点を当て、「7つの素養」と「8つの成長段階」をデジタルツールとして可視化してくれます。生徒自身の内面の成長が明確になり、次の一歩を具体的に考えるサポートをしてくれます。考えや振り返りの記録をもとに、振り返ることで自己肯定感うや、自分の力を「どう使えばいいか」を考えるきっかけになると思います。「自分にもチャンスがある」「世界を変えられることに気づいた」「壁を乗り越えられる」といった気づきにつながっていきます。
本校では、GLIDEやGEARの振り返りをベースにして担任との面談がされるようになってきています。一昔前の「担任とのの面談イメージ」とは、打って変わって「面談という場が、生徒の成長を確認し、次の成長へつなげる質的に向上した面談になっている」との意見が担任から出されています。
また、振り返りと言えば、「学びプロジェクト」の気づきnoteによる経験と内省の連携についてですが、「学びプロジェクト」のような経験と、それを自分事に落とし込むための「気づきnote」と、「ENAGEED GEAR」を併用していくことが、新しい変化を促しているように感じています。「気づきnote」の記録は、単なるメモではなく、探究テーマへと発展する可能性を秘めた「学びのあしあと」であり、将来の入試などでも必要になるエッセイなどの自己表現の証拠となることが示されています。UCバークレーに進学した沢さんのメッセージとして、「英語が苦手でも、海外に挑戦していい」、「学びたい熱意」、「学びの履歴や生き方を語る力」が印象的で、「中学時代にやっておいてよかった“学びプロジェクト”という言葉からも、学びプロジェクトでの参加と気づきnoteが、UCバークレー進学の一つの鍵になっているのがわかります。
GLIDE/GEAR・学びプロジェクト・気づきnote、そして担任との面談といったリフレクションのシステム全体を通じて、次の成長(行動変容)を誘うというサイクルを継続することで、グローバル社会で求められる深い課題意識、それを乗り越えるための人間力(個性・熱意・探究心)につながってもらえればと考えています。(教頭 沼田和也)



