中学生が参加した『破られた約束』展示会
歴史から未来を考える
12月19日、同志社中学校の学びプロジェクトの一環として、中学1年生2名が同志社大学で開催中の展示 「破られた約束 太平洋戦争下の日系カナダ人」に参加しました。この展示は、太平洋戦争開始を口実にしたカナダで起こった日系カナダ人への強制収容と財産没収をテーマにしたもので、そこに暮らしていた人ひとりの視点から歴史を学ぶ内容となっています。1942年カナダ政府の2万人を超える日系カナダ人の強制的な立ち退きの政策において、日系人の財産など残されたものは政府が保護するという約束をしましたが、実際は取り上げられ、「すべてが盗まれるか売り払われた」というパネルから展示はスタートします。
中学生たちは、この展示会に参加して、歴史の事実にふれながらその背後にある人々の思いや社会の課題について深く考えさせられる経験をしました。
参加したひとりの生徒は次のように振り返っています。
「私は日系カナダ人について何の知識もないまま展示会に来て、様々なことを初めて知りました。その事実は非常に悲しく辛いものも多くあり、見ながら心が苦しくもなっていきました。しかし、そんな中でも必死に生きようとして、また、そのために努力した人々がいたということを知ることができました。私はその人たちを尊敬しますし、当時のことを覚えておられる方がいることは大事なことで、後々の人々に伝えていくべきことであると思います。」(K)
この生徒は、このことを一つの史実的な記録としてだけでなく、未来に伝えるべきメッセージとしてこの歴史をとらえておられます。
また、自由研究でシベリア抑留を調べた経験を持ち、この展示に共通点を感じて参加した生徒は次のように振り返ります。
「私は自由研究でシベリア抑留のことについて調べて、この展示会も強制労働などの共通点があると思ったので来ました。実際にどんな生活をしたのかが詳しく書かれているので、すごく辛い生活の様子を前にして自分も辛くなったし、裏切られた自分たちの家が勝手に壊されたりというのは想像できないほど悲しいことなので、カナダ政府が謝ってくれて、事実を認めてくれてよかったと思いました。自由研究で私は歴史は伝えていかなければ風化していくので、語り部の人々が伝えていく記念館などが必要だという結論に至ったのですが、本当にそれが大切だなと改めて思いました。」(M)
この展示会に参加した中学生たちは、この展示会を通じて歴史を過去の出来事としてとえるだけでなく、現在と未来をつなげる課題として学んでいると思います。伝えるべき尊敬すべき人々の努力、語り継ぐことの重要性など、歴史が生徒たちの中で生きた学びとなり、未来の社会を考える材料になったことを示しているのではないでしょうか。今回の同志社大学の特別展示である「破られた約束」は、27日(金)までハリス理化学館(今出川キャンパス)にて開館しているので、興味を持っておられる生徒の皆さんはぜひ立ち寄ってみてください。(教頭 沼田 和也)