Basilisk-まるで生き物のようなコンクリート

バクテリアと土木技術の交差
無機質で冷たい、完成した瞬間から劣化が始まります‥そんなコンクリートの「常識」を鮮やかに覆す、世界が注目する最先端技術を体験できる学びプロジェクトがあります。自らヒビを修復する「自己治癒コンクリート」の試験片製作ワークショップです。
「バクテリアが入っているコンクリートには、なんかモサモサした糸みたいなのが入っていた」とは、1年の高橋さんの気づきです。生徒たちは、コンクリートという土木材料の中に「生命」の気配を五感で感じ取っていました。水を入れた際の変化、砂の混ざり具合、そして予想を上回る硬化の速さ、教科書にある「水和反応」という文字は、自らの指先を通じて「生きた実感」として身体にインストールされていきます。J.デューイの「為すことによって学ぶ(Doing by learning)」を引用せずとも、生徒たちの学びはとは、まさにこの驚きの中に宿ると思いました。
またこの日は、単なる技術体験で終わりません。 「どうしたら微生物をコンクリートと一緒に入れるということを思い浮かべられるのだろうか」 [1年西川]という、この生徒のつぶやきこそ、イノベーションの本質を射抜いていると思います。生物と土木。一見、対極にある「異質な知」を掛け合わせ、社会課題を解決しようとする先人の執念。そこに思いを馳せる瞬間、学びは「受動的な授業」から「能動的な探究」へと変容を表しています。
将来、社会のインフラを静かに守り続けるかもしれません。その手応えを感じた生徒たちの眼差しは、すでに目の前のコンクリートを越え、技術と生命が調和する未来の社会へと向けられています。
(技術科 沼田 和也)





