「コンピュータの父」と言われるアラン・チューリング(1912-1954)の一生を紹介したマンガ(KADOKAWA まんが人物伝シリーズ)です。(2024年1月発行)
2012年、生誕100年とあいまって、彼の活躍を描いた映画「イミテーション・ゲーム」も制作され、話題になりました。チューリングが最も有名なのは、第2次世界大戦でドイツ軍の暗号「エニグマ」を解読して、イギリス、連合国の勝利に貢献したことでしょう。映画もこのときの彼の活躍をメインに描かれています。
一方、本書では、彼の幼少期、学生時代を含めた一生が描かれています。チューリングは個性ある子どもで他者とコミュニケーションが難しい場面もありました。しかし、家族や友人が彼の個性を認め、温かく見守ったことで、徐々に彼の才能は開花していくのです。
そして、暗号解読とともに彼が作った素晴らしい功績は「チューリングマシン」です。チューリングは、ヒルベルト(1862 – 1943年)やゲーデル(1906 – 1978)たち数学者の研究を発展させて、「チューリングマシン」という現代のコンピュータの基礎となる数学的モデルを発表しました。私たちにとってなくてはならない存在となっているコンピュータを、人類が作れる可能性を示したのです。
最後になりますが、彼の人生を知ることによって、現在と未来の世界で大切にされるべき「多様性」についても考えさせられます。
(数学科 園田毅)