理想の未来の車を考えてみよう(法律の許す限り)

ソフトを使って設計したら、そっくりなモデルが新発売
「理想の未来の車を考えてみよう(法律の許す限り)」というユニークなタイトルを掲げて研究に取り組んだのが、荒田さんの自由研究でした。荒田さんは、昨年「空力学上もっともよい形の車」をテーマに研究を行っておられ、今年はそこから一歩踏み込んだものをつくりたかったと言っています。単に形の美しさや速さを追うのではなく、空気の流れ(エアロダイナミクス)・法律上の制約・運転の快適性という三つの視点を統合し、「現実に成立する理想の車」を考えようとされました。
空力の検討では、PC上のシミュレーションソフトを用いて車体周辺の空気の流れを分析し、渦の発生を抑える形状を追究され、車両の高さや長さといった法律上の制限、歩行者との衝突安全性といった条件も視野にいれて、現実の道路を走る車として成立する寸法を設定されました。重量配分やエンジン配置にも着目し、リアミッドシップ方式や前後重量45:55といった構成にされ、燃費競技であるエコマイレッジ車両の形状も参考にしながら、低い車高と流線形のボディが持つ意味も分析されました。
最終的に荒田さんは
・ロングノーズ・ショートデッキ
・できるだけ低い車高
・ミッドシップのエンジン配置
といった要素を組み合わせた車両形状を考案されました。
興味深いのは、その後の出来事です。研究を進めていた時期に、トヨタから新型スポーツカーが発表されました。その車は、前後重量配分45:55、ロングノーズ・ショートデッキという特徴を持ち、荒田さんの設計と似た方向性を持っていたといいます。「自分の考えていた車両と似ている点が多くてすごくびっくりした」
という言葉には、自分の思考が実社会の設計と接続している手応えがにじんでいました。
今回の研究は、単なる「車のデザイン」ではなく、エアロダイナミクスの理論に沿いながら、実社会の法律をベースにしつつ、人が快適に運転するというニーズのなかで、生産実行可能なものを考案されたのです。まさに実質的なエンジニアリングマインドといってよいと思います。「未来の一台」を自分の手で考え抜いた探究は、素晴らしいと思いました。(技術科 沼田 和也)




