「世界最大」の素数が書かれた本!
今回は、2021年8月末現在、「世界最大」の素数とその次に大きな素数がひたすら書かれているだけのユニークな本をご紹介します。本のタイトルは、「M82589933 2018年最大の素数 The largest Mersenne prime at the 51st (January 2019) discovered in 2018」(虹色社)です。
素数は無限に存在するのですが、「世界最大」という表現を使ったのは、私たち人類が今までに発見した最大のものだからです。これからさらに大きな素数が発見されていくはずです。
素数は 2、3、5、7、11 と続く、1 と自分だけが約数である数です。ある数をその数より小さな素数で割ってみて 1 度も割り切れなければ、ある数は素数だとわかります。素数を見つける方法そのものは単純なのですが、時間がかかります。数百ケタ以上の素数を求めるレベルでは、性能のよいコンピュータでも膨大な時間(数年単位またはそれ以上)が必要になるので、大きな素数を発見するのはたいへんなことなのです。
近年、「世界最大」の素数は「GIMPS」(Great Internet Mersenne Prime Search)という世界中のパソコンをつないでメルセンヌ数(Mersenne’s number)の素数判定を行うプロジェクトで発見されています。メルセンヌ数は、2nー1(2のn乗から1引いた数)で表される数です。“Prime”は素数(Prime number)を意味しています。
現在、人類によって発見された最大の素数は2を8258万9933回かけた数から1を引いた数「289589933-1」です。2486万2048桁になるそうです。この素数は、そのすべてが表記されて1冊の本になっています。769ページにわたって、「世界最大」の素数がひたすら書かれています。本校数学博物館(2階数学メディアスペース)に展示しているので、ご興味を持った方はぜひご覧になってください。
(数学科 園田毅)