同志社中学校数学科
本校3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
●2024年3月19日―2025年3月中旬、全作品が展示
本校3年生の皆さんが、数学の授業で問題・解答を自作した算額絵馬の全作品が、大津市にある三井寺(みいでら)「釈迦堂」に今月から翌2025年3月中旬まで展示されます。個人・グループで作成した算額の表に問題、裏に解答が記してあります。上の写真は、卒業式前日3月17日に三井寺で開催された表彰式・展示セレモニーです。
優秀作品に選ばれた8枚の絵馬は、「観音堂」にある江戸時代の算額に並んで永久展示されます。
(下 写真)
今年度の優秀作品受賞者は以下です。
3A伊原駿さん、3B三原和馬さん、3C今川尚紀さん、3D廣川草悠さん
3E長田沙良さん、3F富樫里帆さん、3G藤本遼太朗さん、3H和田莉咲さん
三井寺は桜の名所でもあります。今年は3月末から4月初旬が見ごろと予想されています。
ぜひ一度、三井寺におこしになって作品をご覧ください。
・三井寺 Information
https://miidera1200.jp/information/
●観音堂に展示されている優秀作品
・毎年、本校中学3年生の皆さんの算額絵馬を三井寺のご厚意で飾っていただいております。今回、5年ぶりに三井寺でセレモニーを実施できました。
和算は、とくに日本の江戸時代に発展した学問です。この時代、数学が最も発展していたのはヨーロッパですが、日本はオランダと清朝以外交流していなかったので、数字も漢字で書かれることに象徴されるような独特な発展をしました。特徴を2つご紹介します。
1つは、ヨーロッパでは数学は限られた方の学問でした。ガリレオやニュートン、フェルマー、歴史上有名な数学者、科学者もヨーロッパで出ていますが、どちらかというと身分の高い人の学問で、その人に数学を教える人や一般市民に生まれたけれどとても優秀で身分の高い人に見つけられて研究者になっていきました。
日本での数学は庶民の学問でした。算額はその象徴と言えます。寺子屋という今の学習塾のような場所があって、そこで数学を学んだ人たちが自分で作った難しい問題を寺社に奉納したり、また他の人が奉納した問題を解いた人が解答を奉納したりして、お寺や寺社が今の研究発表の場所、博物館のようになっていました。この三井寺にも1828年に奉納された算額があります。
もう1つの特徴は、数学が文化として普及しただけではなく、生きるために学ばれたことです。武士と農民の交渉や百姓一揆では、農民たちが年貢を計算して、自分たちの生活と未来を勝ち取るために数学を使いました。皆さんにはこういった歴史的事実を知っておいてくださったらうれしいです。
算額展示セレモニーに参加された優秀作品受賞者の皆さんの作問についてのコメントを紹介します。
「自分が新しく学ぶために作りました。」
「適当に図形書いて、がんばって解けるかなあと解いてみるのが好きです。」
「受験の予想問題を作るイメージで作りました。」
「他の人も思いつかない問題を作りたい。おもしろいと言われたい。」
「がんばったらギリギリ解けるような問題を考えました。」
「問題を考えるのが好きなので、自分でも考える問題を作りました。」
(数学科 園田毅)