書籍紹介「フェルマーの最終定理」
書籍紹介
サイモン・シン、青木薫訳「フェルマーの最終定理」
(新潮社 2000年)
本書は、本HPでTVドラマ「古畑任三郎『笑うカンガルー』」の記事でも関連本としてご紹介しました。(2020/4/24)
みなさんは、「フェルマーの最終定理」を知っていますか?
xn+yn=zn (nは3以上の自然数)
を満たす整数解x、y、zは存在しない
というものです。
n=2のときは、x2+y2=z2 という式になり、x、y、zは、(3、4、5)や(5、12、13)の整数の組などが答えになります。これは有名な「ピタゴラスの定理」で、たくさん答えがあります。教科書では中3で学習しますが、中学生の皆さんも3-4-5の三角形は直角三角形になるということはご存じかもしれません。しかし、nが3以上になった瞬間、答えになる整数がただの1組もないのです。繰り返しますが、不思議なことに答えは1組もないのです。
これを主張したのが17世紀のフランス人ピエール・ド・フェルマーでした。フェルマーの最終定理は、1994年にイギリスの数学者ワイルズによって完全に証明されるまでなんと350年もかかったのです。
この本は、最終定理の誕生から証明までの数学の歴史を、ほとんど数式を使わずに紹介しています。より多くの人に数学という学問のおもしろさが伝えてくれる本だと思います。さらに、本書は最終定理だけではなく、紀元前500年ごろのピタゴラス教団の活躍から始まる数学の歴史の流れを広くわかりやすく私たちに紹介しています。また、最終定理を証明するにあたって、谷山豊、志村五郎、岩澤健吉など日本の数学者の努力や貢献があったことも紹介されています。ボリュームがありますが、読み始めると止まりません。
著者のサイモン・シンは、「ビッグバン宇宙論」、「暗号解読」など他にも数学、科学関係の本を書いています。そのどれもが科学の発展を誰にでもわかりやすく紹介されています。数学、科学への興味がわく作品ばかりです。
(数学科 園田毅)
○関連リンク
数学の地図(The Map of Mathmatics)
https://youtu.be/OmJ-4B-mS-Y