第6回 建築・プロジェクト
もう一つの建築
シリーズ「建築・学びプロジェクト」はJIA(京都地域会建築と子どもたち https://jia-kyoto.org/activity/children.html)で活躍されておられる建築の専門家のみなさんからリレートークしていただけるプログラムです。まるで大学の講座のようですが、内容は中高生むけに話を作っていただけますので、安心して参加していただきたいし、ざっくばらんに質問したり雑談もできる雰囲気で、このコースを運営しています。
第6回では、田所克庸氏(http://k-tasho.com/plofile/)、萬野光雄氏(https://manno-architect.com/)のお二人から、「もう一つの建築」というテーマでお話をいただきました。建築物となる前の考えやアイデア、図面や模型も含めてすでに建築としての価値があります。建築とは何かという根源的な問いに迫るお話をいただきました。(沼田)
以下は生徒の気づきノートです。
・「直すだけでなく、新しいアイデアも入れる。直すのとはまた違う。時代とともにその建物が持つ役割も変わっていって、また悪くなったということで新しくするということは時代に合わせて建物やデザイン、文化が更新されていっているというということなのかなと思いました。京セラ美術館やロームシアターが新しくなったのは寺社仏閣などの時代的なものを残しているものを新しくするのとは違って更新されていったということで新しいものだからこそのことなのかもしれないと思いました。行く先々の建物について調べて行ったときに実際に見て良さを感じて吸収するというのも楽しそうだなと思いました。人々がその建物に対して持つ概念的なものを変えずに、新しくしてよかったと思ってもらえるようにする。街並みに合わせた建築というのもまた面白いなと思いました。」(2年)
・「絵が面白かったです」(1年)
・「今回の建築学びプロジェクトでは絵で画家などが書いたものなど絵画も建築になるのだという新しい発見がありました。絵と実際の建築を合体させ永遠に廊下が繋がっているような絵が面白かった。一番印象に残ったのは、全ては建築だという言葉でした。今回、建築は全てのものに繋がっているなーと聞き本当だな思いました。学校の建築などだったらその建築の作りで我々生徒の環境が変わったりと建築は我々の生活に必要なものなのだなと改めて思いました。」(3年)
・「スケッチの仕方や絵の描き方の発想力などが人それぞれ違い、個性があふれていて面白かったです。これを見て、絵の中に建築があるのはとてもいいなと思いました。私はたまに絵を描くので、建築を入れたイラストも描いてみようと思います。また、田所さん自身のスケッチも人々や光・影のことまで考えて描かれていてすごいな、面白いなと思いました。確かにそれも出来上がった時の雰囲気に影響する大事なことだなと思いました。萬野さんの事務所は同志社小学校を設計したということで、本当にすごいなと思いました。また、子どもたちと建築のつながりが知れて楽しかったです。子どもたちで町を設計してみるプロジェクトのようなものは面白そうでした。また、外国の建築を見れて楽しかったです。萬野さんが思わず見返すほどの建築もあり、興味を持ちました。そして、スケッチしたり模型を作ったりと、一つの建築でも色々な表現の仕方があり面白かったです。」(2年)
・「絵と建築が深く関わっているということが意外だった。また、光の向きを工夫することは絵だけでなく、写真を撮る時にも生かせると思った。」(3年)
・「絵画も建築なのはびっくりした。目の錯覚を利用して奥の壁が絵なのはすごい斬新で面白かった。建築を描いた有名な絵があることを初めて知った。ワークショップの京の街ジオラマで、景観の高さ制限まで考えてジオラマを作るのはすごい凝っていて興味が湧いた。」(1年)
・縦縞の室内・壁を隔てて部屋の雰囲気が全く違う
のが面白いと思った。 教会・屋根が独特
窓がない家
・窓がないのは凄い
・反射での光は弱まりやすいので、作るのが大変そうだと思った。
設計競技に出展された新聞キオスクのデザイン
・「新聞」という切り口から見て初めて納得できるデザインが斬新で良いと思った。
ニュートン記念堂
・球体の綺麗さを出せるととても美しくなるだろうと思った。
・雨が降ると落ちる雨粒も綺麗に見えそうだと思った。
オフィスビル案
・多少的なのにどこか似ていて面白かった。
マンハッタン
・現実的ではなさそうだが、生物保存や環境の点においては優れていると思った。
文五郎倉庫
・こういうデザインが映画などに出てきそうでワクワクした。
自然にできた建築は、何らかのその地の事情が絡んで出来ている事が多いので、その地域を知る手がかりになると思った。」(1年)
・「世界には凄い建造物があるんだなと思った」(1年)
・「建築は完成した建物だけではなく、設計した設計図や建築の絵なども建築。という考えに少し驚いて、そのような良い考え方を知ることができました。」(2年)
・「建築のスケッチがとても芸術性があるように思ってとても驚きました。建築ってこんなに自由で面白いものなんだと感じました。この建築の学びプロジェクトには建築の多様性というものが一貫してあったことに気づきました。すごく面白いものなんだと思いました。スケッチ、模型、実際に建ったもの、一つの建物にはいろいろな面があってそのギャップがすごく意外で面白かったです。建築はスケッチに限りなく近いものだと思っていましたがそうではなくて、そのいろいろな面があってのもので、実際の建物とスケッチとの関係性の私の思っているものが変わりました。また、建築家なしでも建築になるという見方があることに気づき、驚きました。建築というものをよく観察してみるとそうしたいろいろな面に気づけるのかもしれないと思いました。建築だけでなく、身の回りにあるいろいろなものを観察してみるとそれらの新しい面に気づき、日常が楽しくなりそうだなと、観察は面白いなと思いました。よく考えてみると日々の生活の中の気づきってとても重要で、それに気づけるようになるととても楽しいのではないか。日常を楽しむためには新しい面に気づけるような感性を養うことがいるなと思いました。たくさんの驚きがありました。」(2年)
・「実際にある建物だけでなく、模型や絵も建築として見るという考え方が新鮮で、とても面白かったです。絵の中にある建築の中には、現実世界では実現しないような建物も描かれていて、見ていてとてもわくわくしました。自分も絵を見ることが好きなので、このような視点でもっと色々なものを見てみたいなと思いました。
萬野さんが話されていたプロジェクトもとても面白そうで、自分も参加してみたいなと思いました。
後半の質問のところでは、自分の下手な質問にも丁寧に答えていただいて、とても参考になりました。」(3年)
・「もうひとつの建築というテーマを見た時どういうことだろうと思っていましたが、今回のお話を聞いてたしかに絵も建築であると思いました。
画家が書いた建築物の絵は細かく描かれているのに対して、建築家が書いたパース図は建築物より周りにいる人や広場が詳細に描かれていて、建物そのものも大事だけれどその建築が周りの環境や人々にどんな影響をもたらすかを大切にしているのがわかりました。」(2年)