ご入学、ご進級おめでとうございます!
皆さんは、数学者を何人ご存じでしょうか。数学に限定せず、科学者と呼ばれる人たちでオッケーです。1分間で10人以上、名前が出たらすごいと思います。隣の人が名前を出してくれたら、「その人、知ってる!」となる人もいるでしょうか。
この本には、数学者と呼ばれた人たちが32人紹介されています。私は、大人になって知った人が半分くらいいます。日本の学校ではあまり数学・科学の歴史を学ばないのです。社会で歴史を学ぶときは、歴史上の人物の生き方、考え方を知って身近に感じる場合もあるので、数学、科学でも数学者、科学者個人のことを少し知ってもらえるとうれしいです。
ちなみに、同志社中学校の数学教室1-6には数学者・科学者の名前をつけてあって、順に「ピタゴラス」、「エラトステネス」、「アインシュタイン」、「伊能忠敬」、「ガリレオ」、「アルキメデス」です。さらに、3階の数学ST(教員室)は「オイラー」、3階数学MSは「ジョン・スノウ」と名付けています。数学MS以外の各室の窓ガラスに肖像画のイラストとその人の生涯を紹介したパネルを掲示していますので、在校生の皆さんはお時間あるときにながめてくださるとうれしいです。この本に紹介されていて、私が好きな数学者を3人、年代順に一言ずつ紹介していきます。
(1)ニュートンさん(1643-1727)です。彼は、今「微分・積分」(びぶん・せきぶん)と呼ばれる分野の数学を最初に確立しました。重力でモノが落ちる動き(落下運動)やさまざまな動きを数式で表せるようになりました。
(2)オイラーさん(1707-1783)です。彼の業績で1番有名なのは「オイラーの等式」と呼ばれるもの(大学1年生で学びます)ですが、私は「バーゼル問題」(を彼が解いたこと)が最も印象に残っています。一般的には「ケーニヒスベルクの7つの橋」の問題が多くの人に知られています。
(3)フーリエさん(1768-1830)です。この方の業績を中学生の皆さんにわかりやすく説明するのは難しいのですが、音や写真の情報は波で表される数式(三角関数)で表されるのですが、これをいくつかの波に分離して、人が聞こえない音とか不要な情報をカットすることに利用されています。
ガウスさん(1777-1855)、アーベルさん(1802-1829)、ラマヌジャンさん(1887-1920)なども紹介したいのですが、長くなるので省略します。興味を持った人がおられたらぜひ調べてみてください。
他に、数学者を主人公にしたマンガもあります。森田信吾、伊藤智義「栄光なき天才たち」シリーズ(集英社)では悲運の数学者として、ガロアさん(第1巻)とアーベルさん(第2巻)が紹介されています。どちらも、数学MS、図書メディアセンターに置いてあります。ぜひ読んでみてください。
(数学科 園田毅)